2019.07.31

GIN FESTIVAL TOKYO 2019 イベントレポート

GIN FESTIVAL TOKYO 2019の看板

6/8-6/9 の 2 日間、東京都天王洲 B&C HALL にて開催された GIN FESTIV AL TOKYO 2019、6/8に視察してまいりました。

昨年は初開催ながら 2 日間で 5,000 名を超える来場者数を記録し、昨今のクラフトジンブームも相まって今年度は開場の 11 時の段階で入場口には長蛇の列を作っていました。

昔に比べ、若年層の飲酒率が下がっているとここ何年もお酒業界が嘆いている状況ですが、会場には大学生らしき集団もチラホラ見え、“この日の為に色々なジンを飲んで勉強してきた!” ”ジュニパーって言うのは〜””あのジンはボタニカルに〜”と後輩らしき女の子に説明している先輩男子などがみられ、モテるためのツールとしてお酒やカクテルがまだ健在だと垣間見ることが出来て少し安心しました。さらには様々なフレーバーも楽しめる昨今のクラフトジンの特性からか、女性客も多くみられました。

会場内の様子

会場内は 50 のブースが出店し、約 200 銘柄のジンを購入したチケット1枚で1ショット試飲するシステム。来場者は 購入した分のチケット=試飲しか出来ないためか、超有名銘柄に集まると言うよりも、折角だから珍しいもの・飲んだ事 のないものの中から厳選して試飲している様に見えました。

かくいう僕自身も事前に調べておいた日本未発売のベルギークラフトジン BUSS N°509 プレミアムジンのブースに直行し、初回チケット 5 枚のうち、早くも 3 枚消費し様々な特徴のあるジンを試飲。

ベルギーでシェフ・バーテンダーとして活躍してきたオーナーのセルジュ・ブース氏が作ったジンということだけあって、伝統的な品質にこだわったスタンダードなジン White Rain はキレ味鋭い力強いジンでバーテンダーが思う、ジントニックをはじめとしたカクテルベースに使いたいジンといった感じで、このジンにどの割材やどんなガーニッシュを添えようかと創造力をかき立てる味わい。

その他にも4種類のラインナップがあり、地中海の柑橘類とハーブをミックスしたものや、ラベンダーやジャスミンなど自然のボタニカルをふんだんに使ったジンなどがあり、このような特徴的なものを作り出すことで、若年層や女性からの支持を得ている印象を受けました。

毎日、世界のどこかで新しいジンが生まれ、新しいもの・味わったことのないものを飲んでみたい、と人が集まっていたが、しかし。もちろん美味しいは美味しいのだけれども、正直なところ 1 杯飲んだらもぉ満足してしまう。新しいもの を1つクリアしたといった感じ。

メジャー過ぎて会場ではそこまで行列になることも無いように見えたヘンドリックスやボタニストなどが知名度も売り上げも頭ひとつ飛び抜けているのは、結局のところ、単純に最高に品質の良いジンを作ろうとしているからのような気が します。

カルヴァドス樽で熟成させたものやローレルなどハーブやスパイスをふんだんに使ったもの

ジンと並行してプレミアムなラムも作っている同蒸留所。担当者が富山出身だったことや、僕がラムコンシェルジュを取得したと話が盛り上がり、3 種類全てのラムを試飲させて頂きました。どれもバニラやナツメグなどのスパイスを使用したいわゆるスパイスドラムで、度数も低く甘いフレーバーがするので女性でもストレートやロックで喜ばれそうな味わい。

大葉とベリーのカクテル
数量限定でオリジナルカクテルの提供も
会場外にはキッチンカーが出店
キッチンカーのハンバーガーセット

ジンばかり飲んでいるとやはり途中ビールが飲みた くなります。

各ブースを試飲して周り、気になったジンをボトルごとトニックウォーターのブースに持っていくと¥500 でジントニックにしてくれるサービスも。レストランでのメニューに入れようと思っている、コニャック地方産の色ブドウを使ったジーヴァイン・フロレゾン+地中海のシトラスやハーブオイルを使用したフィーバーツリー・メディタレーニアン・トニックウォーター の組み合わせは爽やかなアロマが鼻から抜け、気温の上がった昼過ぎには最適の 1 杯に。

GIN FESTIVAL TOKYO 2019
ジンのツリー。
この中からボトルを選んでトニックブースに持っていくと¥500 でジントニックを作ってくれる。
フィーバーツリーとフェ ンティマンス
トニックブースはフィーバーツリーとフェンティマンスの2つあり、両ブランドとも商品全ラインナップを揃え、好みのトニックを選べる。

それぞれ特徴のあるジンとトニックウォーターの無数の組み合わせの中から、ブースのスタッフにオススメを聞いたり、自分でマッチする組み合わせを考えたりと、来場者が楽しそうに(時には物凄く真剣な顔で)選んでいました。この選ぶ楽しさや種類の多さがクラフトジンのブームの要因になっているように感じました。
このように無数の組み合わせから選ぶ楽しさで多くの人が興味を抱いている分、お店ではお店が自信を持ってオススメできる組み合わせや家庭では真似できないものを提供して行きたいと思います。

夜は前回の東京出張で何度トライしても満席で入れなかった新宿のバーベンフィディックへ。今回も満席で入れない状態だったけれども無理を言って1時間後の予約を受けていただき念願の初入店。店内はかなり暗くテーブルの上に置かれたロウソクの灯りがないと相手の表情も読み取れないほど。ボトル棚にはオーナー自身の畑で育てたハーブやスパイスが付け込まれたインフィューズのスピリッツやビターズのビンがズラリと並んでいます。

メニューはなく、お客様の好みや今の気分を聞いてオススメのものを提案してくれる。オーダーを取りに来てくれた女性バーテンダーがとても雰囲気よく、1人ずつの好みから提案するカクテルの説明が“それ飲んでみたい!”と思わせてくれるもので、提供されるまでの時間も期待でワクワクさせてくれました。

様々なハーブやスパイス、その場で枝から撮った木の実などをすり鉢で調合しそこにスピリッツなどとミックスして作るカクテルは他では味わえない特別感を演出。アジアのBar Top50に選出されるだけあって外国人観光客も多く、エレベーター前には狭い店内に入らない大きなスーツケースが大量に並んでいました。

ホワイトネグローニ。ネグローニは通常カンパリを使って赤い色のカクテルになるが、ここではスーズーを使ってホワイトに。
ホワイトネグローニ自体は最近メジャーだが、自家製のビターズを使用している。近年ネグローニは世界的にブームとなっており、外国人はいく先々の Bar でオリジナルのネグローニを楽しむことが多い。

コーヒーの蒸留水とニッカウイスキーを使ったカクテル。飲み始めの冷たい時はコーヒーの香りが広がり後からウイスキーが追ってくるが、温度が上がるにつれ香りの順番が逆に入れ替わる。

このようなオリジナリティ溢れるものを作り出し、他では体験できないものがあるからこそ世界中から多くの観光客がひっきりなしに訪れるのだと思う。この独創性は自分のレシピ開発の参考にしたいです。

元音響エンジニアのバーマン。
外食はコンサートと同じ。料理やドリンク、空間やサービスで楽しいショーを体験する時間。ステージを彩るドリンクで、ショーの一翼を担う。