2020.06.30

農家の僕は40歳から事業承継を考える

KNOWCHの田植え風景

今年40歳になる。

僕はハタチで就職したので、人生の半分を職業人として過ごしたわけだ。

良いか悪いかは別にして、この20年間で色々な仕事をやってなんとか生きてきた。

とにかくお金が無くて1個30円のドーナツを1日3個食べて数ヶ月過ごした時代も幸せだったし、オールドキャデラックを解体ばら売りして食いつないだ時代も幸せだったし、セールスとして3日に1台BMWを売って稼いだお金全てを当時付き合っていたルーマニア人の彼女リサちゃんに注ぎ込んだ時代も幸せだった。

でも僕は、現在が一番幸せだと感じている。農家の現在が。

そんな幸せ絶頂期の僕ですが、実は既に事業承継を考えている。

いや、正確に言うと「事業承継を念頭に置いた農業事業の運営」を考えている。

先日、若いスタッフと田植えをしていて、ふとこう思った。

”60歳まで毎年田植えを出来たとしても、たかだか20回しか経験できないな…” と。

”1年に1回しか失敗や成功が体験できないという現在の農業の性質上、自分の代で実現出来ることは限られているのではないか…”と。

誤解がないように言っておくと、決してオッサンになって弱気になっているわけでも、枯れて情熱が無くなっているわけではない。むしろ、毎日ゴリゴリ事業をドライブしているし、コイツはドライブする上で敵だと認識すると、あらゆる手段でどかしながらの「前に前に全力農業」である。

ただただ、農業の時間軸が長いことに気付いてしまったのだ。

若い彼らに何が残せるのか、次の時代の彼らに何が残せるのか。

らしくない事を考えながら汗をかく毎日である。

食べるための争いも経てきた人類が、やがて種から農作物をつくり、農作物を飼料とした畜産も生み出しました。その後、世界人口の増加に合わせるかのように農業技術は進化を遂げ、今日まで世界の胃袋を満たしてきました。一方で、耕作放棄地、農業従事者の高齢化、フードロス、フードマイレージ、有り余る農作物の国家間の押しつけ合いなど、様々な問題もあるのが現実です。OPENSAUCEの『KNOWCH』プロジェクトでは、問題に農家の視点から取り組みます。