2019.01.21

元保険営業マンによる初めての農地確保

農地を探して歩く二人の男性

”農地はヒトから探せ”

これは、新規就農者が就農支援機関の担当者から、割と頻繁に言われる言葉である。

意味としては、”空いてる農地を探すのではなく、空いてる農地を持っているヒトを探せ”ということである。

残念なことではあるが、行政サイドで農地確保のための様々な施策が用意されていても、その中身に当たる「農地情報」や「仕組み」が未だプアな状態であるため、施策が上手く機能していないのが実情である。

かくいう僕も新規就農者なので、例にならって空き農地を持っている人を探すという行動を、現在も続けている。

今回は、元保険営業マンの僕が、新規就農者として実践している農地確保の方法を書こうと思う。さてまずは結論。就農して約8か月が過ぎようとしている現在、弊社は2ha(ヘクタール)の農地を確保できている。昨年12月には、農地を購入したり借りたりできる「農地所有適格法人」という基準も満たせるようになった。2月には3haに増える予定だ。仲間の農家からは、「親族が農家でない異業種参入では、かなり早い農地面積確保スピードですよ」と言われている。

農地確保の一連の流れを自分で実際経験してみてわかったのだが、どーも新規就農者が増えない理由の一つに農地確保の難しさがありそうだ。

自分の親族が農業を営んでいる(または営んでいた)場合は、農地というのは簡単に確保できる。親、祖父母、叔父、叔母の所有する(または借りていた)農地をそのまま借りれば良いのだから。だが、親族に農業を営んでいる人がいない新規就農者は、 一気に農地確保に対するハードルが上がり、探偵よろしく!な世界に突入してしまう。

  1. 自分が就農したいと思っている地域をぐるぐる徘徊する
  2. 雑草で生い茂っている田んぼや畑を見つける
  3. 付近で農作業している方に声を掛けて情報収集
  4. 3.でわからなければ、法務局で登記簿や公図をあげる
  5. 所有者へアプローチ

本当にふと”探偵ってこんな感じかな?”と、客観的に自分の行動を見て笑えてくることが多々あった。③の情報収集の際は、怪しまれないようにわざわざ作業服と長靴で農家らしさを前面に出したりもした。この農地の探し方だと、僕が昔いた営業の世界で言うと、一軒一軒住宅街やオフィスビルを周って営業する「飛び込み営業」のようなものだ。当然効率が悪いし、うまくいかない。

これはこれで「探偵物語」の松田優作みたいで面白かったのだが、ある気づき以降、こんな感じで効率よく農地確保が進んでいった。

  1. 農家が集まるコミュニティを探す(僕の場合は農業青年連絡協議会。グーグル先生で探そう!)
  2. そのコミュニティに参加する(複数あった方が良いかも)
  3. 参加者と仲良くなる
  4. 参加者利益に繋がることは何か考え、どんどん提供していく(ここが一番大事!)
  5. 耕作放棄地・離農する方の情報や、農家仲間を紹介してくれる参加者が出てくる

結果論なので、万人が同じ方法で上手くいくとは限らないが、飛び込み営業するよりはマシなはず(笑)。

”農地はコミュニティから探せ”

これが適当なのかもしれない。

食べるための争いも経てきた人類が、やがて種から農作物をつくり、農作物を飼料とした畜産も生み出しました。その後、世界人口の増加に合わせるかのように農業技術は進化を遂げ、今日まで世界の胃袋を満たしてきました。一方で、耕作放棄地、農業従事者の高齢化、フードロス、フードマイレージ、有り余る農作物の国家間の押しつけ合いなど、様々な問題もあるのが現実です。OPENSAUCEの『KNOWCH』プロジェクトでは、問題に農家の視点から取り組みます。