2019.04.01

食にまつわる遺伝子をデータ化しオープンにしたい

オープンデータとキッチン

2019年10月開業予定 レストランスタッフ大募集!

最初にこのプロジェクトに誘われたとき、とんでもなく面白そうとすぐに直感して、興奮気味にディスカッションした覚えがある。
OPENSAUCEのホームページにはこうある。

全ての人が、何の心配もせずに、健康的で、おいしく、楽しく食事ができる未来をつくるため、世界に無数に存在する「食にまつわる遺伝子のすべて」をオープンデータ化し、体験として進化させながら後世に残して行くプロジェクトです。

https://opensauce.co/

その活動範囲は長期間かつ多岐に渡りますが、解決すべき課題に積極的に取り組んでいきます。”

「食にまつわる遺伝子のすべて」。
これが単純に食材のゲノムデータだけを指すわけでないことは間違いない。
私たちが毎日何かしら食べて生きていかねばならない、この食というものは、単純に栄養補給というレベルではなく、文化を創り思想を創り社会を創ってきたし、そもそも食卓として家族というものを創ってきた。
だから、食の記憶とも言えるものは、いたるところに残されているのだ。

それを仮に全てデータ化し(そのためにデータ化できるようにする準備も必要だが)、個人情報など一部をのぞいてその多くをオープンに公開することで、誰もが利用でき、利用しやすい世界になったらどうだろう?

美味しいと思うレシピを皆で共有できるかもしれないし、栄養価の高くて美味しい野菜を誰もが作ることができるかもしれない。また、地域の伝統料理を再現できるようになるかもしれないし、子供の頃によく食べた母の味を自分で作ることができるようになるかもしれない。
少なくともOPENSAUCEも含めて一部の企業や国家が食というとても大事な資源を独占するよりは素晴らしいに違いない。

資源として考えたとき、データは21世紀の石油だと言われている。
だからこそ、僕はそのデータを20世紀の石油のように扱うのではなく、できるだけオープンにみんなが共有できる世界を創ってみたいと思ったのだ。

まだ、この分野はこれからだと感じているが、この仕事こそ日本がやるべきだと僕は強く感じている。
日本は食文化としても豊かだし、他の国々に負けない美味しい日本料理がある。また、日本人はその美味しさを古来より、とても奥深く感じ取ってきたと思うのだ。

日本家政学会誌に「現代日本人の食感表現」という論文がある。
この論文の調査によれば、日本人の食感表現は極めて多彩であるそうだ。
英語やドイツ語で100語、フランス語で227語、中国語で144語に対して、なんと日本語では445語もの食感表現がある。「このパンはもっちりとして美味しい」というように、日本人は美味しさを伝えることとして多くの食感表現も多用していて、それだけ表現力があると言える。

幸いにも食は科学(サイエンス)であり、技術(テクノロジー)でもある。
だから、データととても相性が良いし、これからそう遠くないうちに、たくさんの食にまつわる遺伝子をデータ化していけるようにしていきたい。
そのためにはそれを可能にするツールはもちろん、どういうデータ形式が大事なのか、どういうデータを作るべきなのかという根本的な話もつきまとう。

まさに食データの大航海時代。僕はわくわくしている!!

かつて「ハッカーズ」の著者スティーブン・レビーが書いた “Information should be free” という言葉は、僕にとって大きな衝撃だった。社会をオープンにしていくことに多くの時間を割いてきたのもこれが根っこにあるからだろう。だから、人間にとって最も大事な食・農の分野をよりオープンにすることは、きっと社会をより良くすると信じているし、今そこに関われることを心から感謝している。