2021.03.28

土井善晴
一汁一菜でよいという提案【私の食のオススメ本】

  • 書名:一汁一菜でよいという提案
  • 著者:土井善晴
  • 発行所:グラフィック社
  • 発行年:2016年

『暮らしにおいて大切なことは、自分自身の心の置き場、心地よい場所に帰ってくる生活のリズムをつくることだと思います。その柱となるのが食事です・・』

と、土井善晴はこの本の冒頭に記している。この本で学ぶのは一汁一菜という「システム」「思想」「美学」そして「日本人としての生き方」であると結んでいく。

『一汁一菜はただの「和食献立のすすめ」ではありません』と続ける。

なかなかのハードルの高さだと感じてしまいそうだが、ある章では「家庭料理はおいしくなくていい」とある。この本が伝える一つは、日常の食事を難しく考えてストレスにするなということことなのだと捉えた。

つくること、食べることとは何か。おいしさの原点とは。土井善晴は「和食を初期化」して、その具体的な調理法と考え方をこの本にまとめた。

ご飯、味噌汁、漬物を基本とした一汁一菜の考え方の中にちょっと宇宙がみえてくる、そんな本でもある。

「この味噌汁があれば、確かにこれで十分」と思わせる写真付きの味噌汁レシピの価値は高い。

このシンプルでいいという考え方が、現在の日本の食を見直したり考えたりするのには良いかもしれない。ただ、一旦進歩した科学は後戻りしないように、家庭の料理を「どこかに戻す」考えには無理も感じる。

WRITER Joji Itaya

出版にたずさわることから社会に出て、映像も含めた電子メディア、ネットメディア、そして人が集まる店舗もそのひとつとして、さまざまなメディアに関わって来ました。しかしメディアというものは良いものも悪いものも伝達していきます。 そして「食」は最終系で人の原点のメディアだと思います。人と人の間に歴史を伝え、国境や民族を超えた部分を違いも含めて理解することができるのが「食」というメディアです。それは伝達手段であり、情報そのものです。誰かだけの利益のためにあってはいけない、誰もが正しく受け取り理解できなければならないものです。この壮大で終わることのない「食」という情報を実体験を通してどうやって伝えて行くか。新しい視点を持ったクリエーターたちを中心に丁寧にカタチにして行きたいと思います。