小学校の四年生になり部活動が始まると、日曜日には母が握ってくれたおにぎりを持って部活に向かっていた。
母のおにぎりはサランラップで包まれていたのだが、友人達のおにぎりはアルミホイルで包まれていた。
それがとても美味しそうに見えた私は、帰宅するなりなぜうちはアルミホイルじゃないのかと母に文句を言った。
とあるテレビ番組で「お母さんのお弁当ランキング」なる企画があった。
出演者のお母様のお弁当を実際に食べ、評価するというものだった。
その中でアンガールズの田中さんのお母様のお弁当が最下位をとってしまい、冷凍食品を使っているなどの批評をされていた。
それに対し田中さんは、お母様が看護業でとても忙しい中お弁当を作ってくれたことを訴えていた。
おれはこれを食べて育ったんだ、最高!とそのお弁当を食べる姿にスタジオに出演されていた田中さんのお母様も私も涙してしまった。
自分が子を授かり、わずか二、三口の為のおかゆを作る労力に、お弁当を作るという行為がどれほど大変だったかを痛感している。
感謝を伝えるより文句を言う方が多かった母のお弁当を今とても食べたい。
歳を重ねるにつれしみじみと思うのですが、私の母は料理が得意ではなかったと思います。手抜きをするわけでもなく、特別に凝るわけでもない母の手料理。それでももし死ぬ前に何が食べたいか?という質問をされたら、私は即こう答えます。
母の豚の生姜焼きです。