
2025年11月に出荷されたばかりの甍酒蔵『甍/銀•藍』が、dancyu別冊、2026年日本酒特集版に取り上げられた、二つの<新生蔵>の一つの酒蔵の新酒として紹介され高評価を得ている。2024年の初リリース後、醸造1年目で2025年国際的酒コンテストIWCにて金賞を受賞するなど、大変注目されているが、今回は2回目のリリースとなる。
『甍』は前年の「日本酒dancyu」誌でも<新進の注目蔵15>として取り上げられた。2024年に寛文5年創業の歴史ある酒蔵を事業継承し、最高の水を求め長野県松川村に移転、一から蔵を新設し、「日本一新しい酒蔵」として業界や日本酒愛好家の間で話題になったばかりだった。
この「日本酒dancyu Vol.1」では初リリースであり『甍』の誕生酒である「銀•黒※」がとりあげられ、「育ちの良さを感じる心地よいフレッシュさ」「完成された若めの酒質。シャープで締まりもいい」など、酒の鮮度の良さにテイスターの高評価を得た。
※『甍』の銀クラスには黒・藍・紅の3種があり、上位に金クラスがある。『甍』には精米歩合の表記はない。これは精米歩合でその酒に対するイメージを持ってほしくないという作り手の思いからなのだと考える。

そして、2026年「日本酒dancyu Vol.3」では、<2026 いま飲みたい酒>の新生蔵部門に「北アルプスの清らかな水と名杜氏の技が冴える名酒」として『甍 銀•藍』が取り上げられた。
2年目の日本酒に定評のある食の雑誌が「名酒」としたのには驚く。担当したテイスターや編集部内では暗黙のうちに別格扱いになっているのだろうか?

アカデミー・デュ・ヴァン日本酒講師のおおくぼかずよ氏は「甘酸が調和し奥行きもある」と満点評価。ベトナム料理アン・コム(ăn cơm)の梅村建之氏は「バランス良くガス感が心地よい」として自身の<偏愛大賞>にしたようだ。
ここで、ベトナム料理の店長が日本酒のテイスター?と思われるかもしれないが、アン・コムの料理は、常時100種ほど用意されている全国の日本酒とのペアリングに定評があることで有名なのだ。
ベトナム料理は油も少なく日本酒に合うとも言われていて、スパイスは多用されているが他のアジア圏の料理よりも優しいように思うのと、ニョクマムのような魚醤もほとんどの料理に隠し味としても使われていることにもマッチする理由があるのかもしれない。
ここで、アン・コムの梅村氏が今回、銀•藍を<偏愛大賞>としたことには『甍』の海外での評価でも一歩進むのではないかという期待感が生まれた。
『甍』は冒頭にも書いたが、2025年にIWCで金賞を受賞しているのだが、これはロンドンで行われる大会だ。レストランで食べながら飲んで審査をするわけではない。
海外において、酒のプロモーションイベントは有名レストランで行われることが多い。モダン・ベトナミーズの店長が<偏愛>するほどのお酒ならば、ロンドンの高級ベトナム料理店あたりから火がついても良いのでは⁈
などと、この掲載記事を読みながら想像したのだった。
日本酒に興味がある方は、<日本酒dancyu Vol.3>を手に取って、他の素晴らしいお酒のことも知っていただきたい。
そして、その中で『甍』の記事のコピーにさりげなく<名酒>と書かれたことや、<偏愛>する食のプロが出現しているということにワクワクしてほしいと思う。
※「甍酒蔵『甍 銀・黒』IWC2025ゴールドメダルを受賞」の記事はこちら
text : Joji Itaya