2021.01.09

食べたくなる本【私の食のオススメ本】

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  • 書名:食べたくなる本
  • 著者:三浦哲哉
  • 発行所:みすず書房
  • 発行年:2020年

著者・三浦哲哉氏は映画批評家および研究家でもあり大学で表象文化論を教えている。2020年にはLAに一年ほど住んでいたらしい。小説群像にLAフード・ダイアリーという連載をしていた。

著者は最初に料理書に惹かれる理由をあげている。

その動機には、食をめぐる知識を増やして、自宅で美味しいものを食べたい、とある。著者は、若い頃は経済的な余裕がなく、社会に出て余裕ができたら家庭を持つて育児がはじまり、外食の時間が取れなくなった。

ということで、これまで未知の料理への渇望は書物に向けられ、見よう見まねで再現したり、読んで楽しむこととなった。もう一つはよそで何をどう食べているのかが気になってしようがないらしい。

この辺でとても強いシンパシーを感じる。

そして、この本と三浦氏の思想に惹かれるのは、世の中には便利なサイトもあるが、料理本の著者の息遣いを感じる書物が好きだと述べている点だ。

さらに「私が死んでもレシピは残る」と言った小林カツ代の言葉をあげていることだ。匿名のレシピサイトでもなく、個人の料理書の意味合いが強いブログでもなく、編集者の感性が加わった料理書は、たしかに読者によっての新たな目覚めを待っている。だから読み込む面白さがある。

本書では自身の思想を語るエッセイと料理本という特殊な作家論を綴っている。登場するのは、高山なおみ、細川亜衣、有本葉子、丸元淑生、ケンタロウ、小泉武夫、冷水希三子と奥田政行、エル・ブリ、勝見洋一など。
食べることを愛し直すために「いろいろなおいしいあいだを漂い」ながらおいしい哲学書を著者は送り出してくれた。

WRITER Joji Itaya

出版にたずさわることから社会に出て、映像も含めた電子メディア、ネットメディア、そして人が集まる店舗もそのひとつとして、さまざまなメディアに関わって来ました。しかしメディアというものは良いものも悪いものも伝達していきます。 そして「食」は最終系で人の原点のメディアだと思います。人と人の間に歴史を伝え、国境や民族を超えた部分を違いも含めて理解することができるのが「食」というメディアです。それは伝達手段であり、情報そのものです。誰かだけの利益のためにあってはいけない、誰もが正しく受け取り理解できなければならないものです。この壮大で終わることのない「食」という情報を実体験を通してどうやって伝えて行くか。新しい視点を持ったクリエーターたちを中心に丁寧にカタチにして行きたいと思います。

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