
(下線のあるテキストは詳細などにリンクされています)
2026年1月17日、OPENSAUCEが運営する金沢・片町『snackパンチ』において、スナックでチーズフォンデュを楽しむ会が開催された。スナックという場を借りてということではなく、あくまでもチーズフォンデュを食べながらスナックを楽しむという内容だ。
しかしながら、『チーズ王国』北陸支部の運営会社代表・為広 薫氏にコラボ協力をいただき、参加者はスナック感満載の賑やかさの中で、本格的なチーズフォンデュを心ゆくまで味わうことができたようだ。
子どもの頃からチーズ好きという為広氏は、新卒でナチュラルチーズの販売会社に入社し日本各地の店舗で販売やマーケティング業務を経験。ヨーロッパ各国でチーズの製造や酪農も学んだ後、オーナーとして独立している。
チーズフォンデュの後には、「フランスチーズ鑑評騎士」である為広氏がセレクトしたチーズプレートも興味深い解説とともに提供され、この日のために用意されたワインや、昨年初リリースし、国際的な賞を獲った日本酒『甍』の新酒など、チーズに合わせてさまざまなお酒をさらに楽しむことができた。
また、OPENSAUCEに在籍していたアメリカ料理のシェフ・野岸氏(NOGIYA)もこの日のために作ったプルドポークを提供。チーズフォンデュのソースをかけて食べたり、味変用に使ったりと良いアクセントとなっていた。

チーズフォンデュ・ソースと本格的なフォンデュ鍋

ココットにはNOGIYA特製プルドポーク


この会は、席数も少なく予約制ですぐに満席となったが、参加できなかった人たちからは定期開催を望む声も上がっているようだ。たとえばチーズフォンデュならば専門のレストランに行けば良いとも言える。いや、そうではないのだ。
以前、インバウンドのための「スナック体験」予習と言える<外国からの旅行者が、不思議な飲食店「スナック」を訪ねるべき理由>という記事をRIFFに上げた。それは、「スナック」とはいつ生まれて、いつから日本の固有の文化になったか、そして日本人にとってなぜ必要かという内容に至るものだ。
「スナック」は以前に書いたように、本当の家以外のもう一つの家であり、そこにいるのはもう一つの家族なのである。
客は「スナック」に不変の日常を求める。ヒョイと顔を出してから本当の家に帰りたい。1曲歌って今日の〆としたい。そこはいつもの通りであって欲しい。
しかし、本当の家で非日常的なハレの日だけの夕食と晩酌があるように、もう一つの家、スナックでも非日常的な日があっても良いはずだ。
「スナック」も少しづつ変化を遂げている。
昭和に始まったスナック文化も平成にも消滅することなく、令和になり、昭和を知らない店主が生まれている。客層も多種多様になってきている。
「スナックというものは余計なことをせずいつも同じがいい」という人も多いだろう。しかし、たまには日常の安心感や楽しさとは違うワクワク感のあるイベントがあってもいいのではないだろうか。
今回の国際的な専門家がいるチーズフォンデュの会やソムリエがいるワイン会、利酒師による日本酒の会など、これからは定期的な行事が開催されることも多くなっていくように思われる。また、金沢のいくつかの酒場では、今回協力してもらったNOGIYAによる本格タコスのポップアップや出張鮨屋の会が行われたり、研究家によるラーメンが提供されたりということが増えており、それを楽しみにする人も多い。今後はこのようなことが「スナック」で行われることも増えていくと予想する。
これからはその企画センスやゲストの招聘力が「スナック」の看板や魅力の一つになっていくかもしれない。

金沢の片町で、招待制で飲み放題ありの紹介制ショットバースタイルで2018年にスタートした『snackパンチ』は、1年ほど前からボトルキープと飲み放題セットのシステムに移行した。より一般的なスナック感も増し、開業当初は隣接するレストランからの二次会利用や関係者によるゲストが中心となっていたが、紹介制にも拘らず、現在ではそれ以外の顧客層が主となっている。
紹介制の『snackパンチ』はSNSをいくら上げても新規への集客にはつながらない。人が人を呼ぶ、ということに頼るしかない。現在の良好な来店状況を作り出したのは、『snackパンチ』の運営を背負ってきた千晴ママの、数年間をかけた丁寧な様々な人との結びつきの結果であることが大きいのは間違いない。それは、店の中にいるだけでは生まれることのない結果であることは理解している。
時折、できるだけ多くの顧客の方に、非日常の『snackパンチ』を楽しんでもらう機会をつくり、長くそのつながりを続けていけるように、今後も編集部として企画に協力していきたい。
text : Joji Itaya(RIFF編集部)