2024.12.10

大山地鶏でタッカンマリ 〜韓国の水炊き?! オカンの韓国料理VOL.13~

偶然、今シーズンは知り合いが韓国へ行く機会が多く、皆一様に韓国旅行で忘れられない食体験のひとつが、タッカンマリ(닭한마리)だと言う。日本人にも馴染みやすい、鶏の旨味を丸ごと味わえる韓国風水炊き料理の事だ。「鶏一羽」という意味の名前通り、まるごとの鶏を煮込む豪快なスタイルが特徴で、韓国ではソウルの東大門(トンデムン)エリアを中心に専門店が立ち並ぶ人気料理である。

 今回は、韓国旅行でタッカンマリに魅了された方々のエピソードを交えつつ、自宅でも作れる私の故郷のブランド鶏でもある大山地鶏を使ったレシピをご紹介します!

韓国旅行で味わったタッカンマリの衝撃

韓国を訪れた知り合いに、何が一番お気に入りの食べ物だったかと尋ねると皆一様にタッカンマリの名前を口にする。

「スープが白濁するほど煮込んだ鶏は、驚くほど柔らかく、鶏の旨味が凝縮されていた。お店のスタッフが手際よく鶏をカットし、最後の〆に麺(ググス・국수)を投入する流れも新鮮で楽しかった!」と、興奮気味に語っていた。

タッカンマリには、根菜やジャガイモ、ニンニクがたっぷり入ったスープと、特製のタレが欠かせない。この付けタレは、唐辛子酢醤油をベースに、お好みでマスタードや刻んだネギ、にんにくを混ぜ合わせたもので、食べるたびに味の変化が楽しめる。「現地では、日本の水炊きに似ているけれど、辛味のあるタレが絶妙なアクセントになって、何度も通いたくなる味わい」と、本場の味にどっぷりハマった様子だ。

大山地鶏で楽しむタッカンマリのレシピ

実は、自宅で簡単に再現できるタッカンマリ。今回は、日本国内で手に入りやすい大山地鶏を使ったアレンジレシピをご紹介。

材料(4人分)

大山地鶏(丸鶏、丸鶏が手に入らない場合は骨付き肉でも可)……1羽分(約1.2kg)

  • 水……2L
  • 大根……1/2本(約300g)
  • ジャガイモ……2個
  • 人参……1本
  • 玉ネギ……2個
  • 長ネギ(青い部分と白い部分を分けて使う)……3本
  • お好みの木の子……好きなだけ
  • にんにく……6片
  • しょうが……1片(スライス)
  • 塩……小さじ2 • 韓国春雨やラーメン、氷見うどんなどお好み(〆用)……適量

タレ用材料

  • 醤油……大さじ3
  • 酢……大さじ3
  • 唐辛子粉……小さじ1
  • にんにく(すりおろし)……小さじ1
  • マスタード or からし(お好みで)……小さじ1

作り方

1. 下準備

大山地鶏を軽く洗い、水気を拭き取る。根菜類は一口大にカットし、長ネギは青い部分を臭み取り用に纏めて入れる。玉ネギは適当な大きさにカットする。ジャガイモは幅1cmのやや厚切りに。木の子は適当な大きさにカットする。

2. 煮込み

鍋に水、大山地鶏、大根、人参、玉ネギ、にんにく、しょうがを入れ、沸騰したらアクを丁寧に取り除く。※この灰汁取りが非常に重要。
一度、キッチンペーパーで濾して、出汁用の青ネギ、人参、玉ネギを取り除く。鶏肉は一度軽く洗い、表面の血合いなどを取り除く。

その後、再び鶏肉、ジャガイモ(ジャガイモはここで初めて投入)、ネギの白い部分や好みの木の子を追加して最初と同量の水で弱火にして約1時間煮込む。

3. 仕上げ

塩でスープの味を調え、最後に長ネギを加えてさらに5分煮る。

4. タレを準備

タレ用材料を混ぜ合わせ、食べる直前に添える。この際、隠し味にタッカンマリのスープを大さじ2杯加えても美味しい。

5. 〆を楽しむ

鶏と野菜を食べ終えたら、スープに韓国春雨やラーメンを入れて煮込み、締めまで楽しみましょう。
アレンジメニューとして最初の煮込みに使用した香味野菜は、保管しておけばタッカンマリの残り汁でチキンカレーにできる。濃厚な鶏出汁とにんにくやしょうがの効いた身体が温まる一品だ。

タッカンマリの魅力にハマる理由

タッカンマリは、鶏本来の味わいがしっかり濃厚に楽しめるシンプルさが魅力。特製タレのアレンジ次第で、酸味を効かせたり、辛さを加えたりと、自分好みの味に仕上げられる自由さも人気の秘密だ。
そして日本が誇るお鍋の文化が、異国の地でも我々の情緒を想い出させるのではなかろうか。

また、地鶏を使うことで、さらに深い旨味とコクが生まれ、自宅でも贅沢な味わいを堪能できる。日本に帰国した後も「本場で食べたあの味を再現したい!」という気持ちから、自宅でタッカンマリを作る日本人旅行者も増えているとか。

次の旅行先に韓国を選ぶなら、ぜひ東大門で本場のタッカンマリを堪能してみてください。そして帰国後は、お好みの地鶏であの味を再現して旅の余韻に浸るのがお勧めです!

WRITER Taishi Joh

沖縄にルーツを持つ父親と、韓国人の母との間に産まれ、幼い頃から日本食とは一風変わった食卓で育ちました。
転勤族の父親に付いて、全国津々浦々に移り住み、グルメな母親の影響で週に一度は外食をしていました。
それでもやはり、一番好きな食事は母親の手作りです。母も小まめに料理を作り、夕飯の家族一緒の団欒はかけがえのない想い出です。
今でも月に一度の頻度で、田舎の特産品や母親手作りの常備菜が届きます。
そんな私が、もう永住するしかないと決めた大好きな街、金沢。
其処から全国、ひいては全世界に向けて食のあり方を発信することが出来る私たちの会社を誇りに思い、末端ながらお仕事出来る喜び…と、美味しい賄いを噛み締めている毎日です。