- 書名:クロワッサン特別編集 感動スパイス レシピ
- 発行所:マガジンハウス
- 発行年:2022年
スパイスに興味を持ったからと言って、何千年も前に始まった香辛料の実験をやり直す人はいない。ごくごく最近の先達たちのお試し発表を有り難くおさらいすることから始めたい。
この「家でできるものばかり!150品」のレシピを集めた「クロワッサン」のスパイスの特集号には、料理を楽しくさせる新たなスパイスとの出会いが非常に素人に都合よく詰まっている。保存版としておきたい1冊。
この特集は大きく4つの章立てになっている。
1章「本格スパイスカレーは、もはや家庭の定番」
読みどころは、4種を同量で混ぜるだけの万能ミックススパイスの作り方。初心者にはハードルが低くて安心。
2章「我が家のカレーを、もっとおいしく。」
うれしいのは普通の食パンで作るカレーパンのアレンジ。
3章「普段の料理が、スパイスで生まれ変わる。」ここでは目から鱗のスパイスを楽しむお菓子とドリンクの記事がオススメ。
4章「たっぷりの薬味で、食欲増進、消化力アップ。」ここでは思い切り香味野菜を楽しむやり方が面白い。
ちょっと思うところは、内容は良いのだが、いやはやなんともセンスがない、食欲も料理欲もそそらない<見出し>だ。まったく残念。まあ、<感動スパイスレシピ>というタイトルもイカしてないけどね。感動って読者より先に言ってどうする!
感動カレーっていうメニューがある店は嫌でしょ。
ちょっと個人的感想が入り過ぎたてしまったので内容紹介へ。
1章には過去の掲載記事からカレー好き4名のテッパンレシピが載っている。その中に北島明さんというデビューの頃から知っているカメラマンが登場している。彼はカレーのイベントを開いたり、撮影現場に鍋を持ち込み差し入れをしてモデルさんやスタッフに喜ばれたりして、カレー好き、スパイス好きで有名だ。北島さんが過去記事から取り上げられているのはこの本信用できるって思う所以。
SNSで見るカレー料理からはスパイスが香るようで、投稿を見ている多くの業界仲間たちもみんなやられてしまうからね。
ということで、スパイスの少ない日本という国にこんなスパイスが蔓延してくれたのはうれしい限り。
見ていて楽しい料理本は癒されます。
気になる掲載料理:スパイス入りスコーン/サンデッシュ+柚香る苺ミルク(グリーンカルダモン)/ローズマリーとスパイスのジントニック/春菊のビリヤニ/はちみつチキンカレー/エノキのキーマカレー/フルーツのチリソルトがけ/イラン風サフランプリン/なすとささ身ののだしカレーつけめん/鯖缶のトマトカレー/トマトと黒コショウのレモンスープ/カレー味キューカンバー・サンド/鶏の唐揚げ+シナモン/肉じゃが+五香粉/スパイスミックス・ヨーグルトバー(アイス)/完熟梅とカルダモンのコーディアル/陳皮入りバンバンジー/かまぼこのパセリからしじょうゆ和え
出版にたずさわることから社会に出て、映像も含めた電子メディア、ネットメディア、そして人が集まる店舗もそのひとつとして、さまざまなメディアに関わって来ました。しかしメディアというものは良いものも悪いものも伝達していきます。 そして「食」は最終系で人の原点のメディアだと思います。人と人の間に歴史を伝え、国境や民族を超えた部分を違いも含めて理解することができるのが「食」というメディアです。それは伝達手段であり、情報そのものです。誰かだけの利益のためにあってはいけない、誰もが正しく受け取り理解できなければならないものです。この壮大で終わることのない「食」という情報を実体験を通してどうやって伝えて行くか。新しい視点を持ったクリエーターたちを中心に丁寧にカタチにして行きたいと思います。