2022.05.10

子ども食堂をつくろう
【私の食のオススメ本】

子ども食堂をつくろう 表紙

  • 書名:子ども食堂をつくろう〜人がつながる地域の居場所づくり
  • 著者:NPO法人 豊島子どもWAKUWAKUネットワーク
  • 発行所:明石書店
  • 発行年:2016年

長い間、子ども食堂に居ずらそうな大人社会との縁(へり)を歩いている子供たちの居場所というものを考えていた。そうしているうちに成人年齢はは18歳に引き下げられた。

最近、優良な企業に属し、個人的な資産運用に成功している30代後半の独身男性と話をしていたら、早めに退職していろいろやってみたいと言う。その中に子ども食堂が出てきて、なかなか素敵な人だなと思った。

こちらが調子に乗って「いまある子ども食堂はとっても重要だけど、違うかたちの子どもたちに何らかの刺激を与えられる場所があっても良いのではないか」「スタッフがみんなボランティアのお母さん的でなくて良いのではないか。ファッションだって必要ではないか」

(自分は時々、アフリカの貧困国を訪ねていた黒柳徹子氏が、ドレスを着ていくのは子どもたちへの礼儀だ、と言っていたことを話す)

さらに「本やアートや音楽に出会える場所であった方が良いのではないか」・・「家では使わないスパイスが試せる場所だったり、例えば、TVの食番組で高級食材として扱われるトリュフってどんなものかわかる場所であってもいいのではないか」と言ったら・・

「えー、僕だってトリュフなんかそんな食べたことないのに」と言ったのでハッとした。そうか、子ども食堂というのはそういう位置付けなんだ。上から下への流れの中で考えるものなのか。

実は以前に自分が考えていることを知り合いの30代のカフェの女性オーナーと元アパレルのスタッフの女性と話したことがある。このオーナーの姉が子ども食堂を運営していたので話が盛り上がったのだ。彼女たちは「そういうのいい!」と賛同してくれた。

IT系企業に勤める40代の友人と運営のためのアプリの運用で経済が回るシステムの話したところ「え〜それめっちゃいいです。システムもですけどそういう場所欲しかったです」と反応してくれた。

そこで、これまで国や役所の施策を調べたりしてきてはいたが、原点の「子ども食堂」について再度理解しておこうと思ったのである。子ども食堂をやろうと思う人はどんな人だろう。どこから手をつけるのだろう。どんな疑問や悩みがあるのだろう。

過去にこのグループがNHKのあさイチで取り上げられていたのと、検索で上位に出てきたのでこの本を読んでみた。

グループは、あしたのまち・くらしづくり活動賞で内閣官房長官賞や東京都女性活躍推進大賞も授与されるような活動をしている。グループの立ち上げから子ども食堂の開業までストーリーとQ&Aなどで構成され。読み進むことで一通りの流れを理解することができる。

事務局長の天野敬子氏は本書冒頭でこう書いている。
「<やってみたい>という気持ちは、人の心を動かす(略)子どもが自分から、<やってみたい>ことを見つけて取り組むときは目がきらきら輝いている。大人も同じだと思う。」

「食事をつくって食べる。これはとても日常的な行為である。勉強を教える学習支援より、<できそう>と思われる方が多いのだと思う。お腹いっぱい食べていない子がいる、と聞いた時にお腹いっぱい食べさせてあげたいと思うのは、自然な気持ちであろう。そして誰かの役に立つのは大きな喜びだ」

自分はこういうことがギリギリのボランティアのような状態で行われているのは国の怠慢だと思う。しかし、国の直轄でがんじがらめになることを考えると、このまま次のステージに行ってほしいと思う。そのためにも学ぶべきことが多い。

(個人的にはWEB3.0の世界でこそ、こういうことに利用すべき運営システムが生みだせるのだと思っている。)

帯でNPO法人全国こども食堂支援センターむすびえ理事長 湯浅誠氏(社会活動家・法政大学教授)は<子ども食堂は「子ども専用食堂」ではない」あなたの居場所だ!>と書いている。

(ここは重要だ。が、自分はその先へ行ってほしいと願う。居場所から出発したり戻ってきたりできるエアターミナルのようになってほしい)

その湯浅氏はまったくのアナログ人間だと言っていたが、最近、『ガッコム・むすびえ こども食堂マップ』の共同開発にOPENSAUCEメンバーで「社会課題をテクノロジーで解決する」をミッションに掲げる『アイパブリッシング株式会社』と代表の福島健一郎氏が参画したのは良いニュースだ。

WRITER Joji Itaya

出版にたずさわることから社会に出て、映像も含めた電子メディア、ネットメディア、そして人が集まる店舗もそのひとつとして、さまざまなメディアに関わって来ました。しかしメディアというものは良いものも悪いものも伝達していきます。 そして「食」は最終系で人の原点のメディアだと思います。人と人の間に歴史を伝え、国境や民族を超えた部分を違いも含めて理解することができるのが「食」というメディアです。それは伝達手段であり、情報そのものです。誰かだけの利益のためにあってはいけない、誰もが正しく受け取り理解できなければならないものです。この壮大で終わることのない「食」という情報を実体験を通してどうやって伝えて行くか。新しい視点を持ったクリエーターたちを中心に丁寧にカタチにして行きたいと思います。