2019.10.11

にぎやかな天地  【私の食のオススメ本】

「にぎやかな天地」宮本輝ブックレビュー

  • 書名:にぎやかな天地 上下巻
  • 著者:宮本 輝
  • 発行所:講談社文庫
  • 発行年:2008年(※初版は2005年 中央公論新社)

熟鮓、味噌、醤油、糠漬け、鰹節といった日本の伝統的な発酵食品を後世に残す豪華限定本を作ってほしい…。

フリーライターの主人公がそんな依頼を受けて日本全国を取材行脚。祖母の死以来、失われていた糠床を蘇らせ、自分自身も発酵食品と向き合い、食のあり方を見つめ直す。

物語の中に、当時発生した阪神淡路大震災や取材中の一期一会、恋愛模様など巧みに折込みながら、日本食の根本を知る事が出来る興味深い一冊です。

WRITER Taishi Joh

沖縄にルーツを持つ父親と、韓国人の母との間に産まれ、幼い頃から日本食とは一風変わった食卓で育ちました。
転勤族の父親に付いて、全国津々浦々に移り住み、グルメな母親の影響で週に一度は外食をしていました。
それでもやはり、一番好きな食事は母親の手作りです。母も小まめに料理を作り、夕飯の家族一緒の団欒はかけがえのない想い出です。
今でも月に一度の頻度で、田舎の特産品や母親手作りの常備菜が届きます。
そんな私が、もう永住するしかないと決めた大好きな街、金沢。
其処から全国、ひいては全世界に向けて食のあり方を発信することが出来る私たちの会社を誇りに思い、末端ながらお仕事出来る喜び…と、美味しい賄いを噛み締めている毎日です。