2021.04.01

肉食の思想【私の食のオススメ本】

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  • 書名:肉食の思想 ヨーロッパ精神の再発見
  • 著者:鯖田豊之
  • 発行所:中央公論新社
  • 発行年:初版1966年 2018年60版

人間はなぜ擬似ミートを造ってまで「」から離れることをしないのか、という疑問でありこれからの食と農の大命題(と思う)を調べるために読むことにした本。

なぜこの本は初版から60年近く出版され続けているのか。西洋史の教材なのだろうか。前書きで著者は、西洋史の研究をはじめてから不満に思ったのはヨーロッパ史やアメリカ史を日本人の立場で書いたものがほとんどないことだ、と書いている。

ここでいうヨーロッパとは『ユーラシア大陸西部の地理的ヨーロッパにかぎらない。原則として、アメリカを含めたもっと広い文化的「ヨーロッパ」である(著者)』

ヨーロッパ人の肉食はどうして始まったのか。米は主食だがパンは主食ではない。欧米の農学者は日本の水田耕作をアグリカルチャーではなくガーデニングという。エミール・ゾラが言ったパリの胃袋「中央市場」の精肉業者の社会的地位は低くはなかった。人間と動物を断絶させることで肉食が認められた。牛や豚は人間に食べられるために神がつくったという意識・・・

1960年当時、日本において「食生活」は新しい視点だった。食は衣住のように生活の中にあり食生活として単体で存在するものではなかった。この本はその視点でヨーロッパの歴史を見直した西洋史学の「問題作」とも言われている。

おかげでヨーロッパでなぜ「肉食」が生まれ食の主体になったのかが理解できるようになった。

いまだにこ本書を超える、「食生活」からみたヨーロッパと日本の比較を行ったものはないのではなかろうか。

ゲノム的にまたはミーム的に「肉食」が消え去らなかった理由を探りたければ、この本から入ることを勧める。

WRITER Joji Itaya

出版にたずさわることから社会に出て、映像も含めた電子メディア、ネットメディア、そして人が集まる店舗もそのひとつとして、さまざまなメディアに関わって来ました。しかしメディアというものは良いものも悪いものも伝達していきます。 そして「食」は最終系で人の原点のメディアだと思います。人と人の間に歴史を伝え、国境や民族を超えた部分を違いも含めて理解することができるのが「食」というメディアです。それは伝達手段であり、情報そのものです。誰かだけの利益のためにあってはいけない、誰もが正しく受け取り理解できなければならないものです。この壮大で終わることのない「食」という情報を実体験を通してどうやって伝えて行くか。新しい視点を持ったクリエーターたちを中心に丁寧にカタチにして行きたいと思います。

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