2019.09.28

開業前A_RESTAURANTが Mistletoe記者発表イベントで 初お披露目。

2019年10月開業予定 レストランスタッフ大募集!

8月30日、スタートアップ支援企業「Mistletoe」が記者発表イベント『CREATIVE GLOBAL KANAZAWA』を金沢「A_RESTAURANT(ア・レストラン)」において開催。
金沢への本社移転と宮田人司新代表就任などが発表された

イベントの会場となった「A_RESTAURANT」は「Mistletoe」のコミュニティメンバーである「OPENSAUCE株式会社」が運営する、開業間近の金沢市片町のレストラン。各料理界から集まったシェフやパティシエたちによる実験的ディナーも合わせて行われた。
そこで今回、われわれ「OPENSAUCE」のオウンドメディアであるRIFF編集部は本イベントを取材した。(本文中敬称略。「」内は編集部で加筆)

「Mistletoe」が東京から金沢へ本社移転

金沢a_restaurant
イベント会場となった「A_RESTAURANT」も、この日が初お披露目

当日は各メディアばかりではなく、グローバルなスタートアップ支援など行う「Mistletoe」の発表イベントということもあり、金沢市長や金沢経済界を代表する方々のほか、海外からのゲストも多数参加。イベント開始前からリッラクスした中にも盛り上がりを見せていた。

イベントでは、「Mistletoe」が株式会社から合同会社へ組織変更することや、「Mistletoe Japan」に商号変更することなどが発表された。 そのなかで特に大きな話題となったのが、拠点を東京から金沢へ拠点を移すという発表だった。

「Mistletoe」は、2013年にファウンダーの孫泰蔵によって設立されたが、現在、世界15ヶ国・170以上の組織とともに幅広い活動を行い、起業家・スタートアップをさまざまな形で支援している。

<同社は112社のスタートアップに対して約250億円、スタートアップの生態系を作るために、独立して自分たちでベンチャーを支援しているような投資家へのフォローとして、ベンチャーファンドにもおよそ60社で200億円ほどの出資をしている。また、NPOのような非営利組織、5つの大学とも提携している。(孫泰蔵、会見内容より)>

Mistletoeの金沢移転とミッションを語る孫泰蔵
Mistletoeの金沢移転とミッションを語る孫泰蔵

ファウンダーである孫泰蔵は「Mistletoe」の活動について「今、世界にも日本にもとても大きな問題がたくさんある。私たちのミッションは、その大きな課題を解決するために、いろいろな新しい技術を見出し、そのテクノロジーを使って、世界を良くしていくようなイノベーター、起業家といった人たちをサポートするということにある。単なる投資家やベンチャーというわけではなく、私たちはThe Collective Impact Communityと呼んでいるが、そういった活動をする同志の集まりがMistletoeだ。

実際、投資だけが支援活動ではなく、時には共同で研究開発するところからやったり、会社を設立するところから始める場合もある。もし既に始めている場合は、資金を一部出資したり、活動を広げたいということであれば、世界中の私たちのメンバーがあらゆる面で活動をサポートするという形をとっている」と話し、「私たちが最も大事だと思うのは、世界を変革する時に、私たちの人間らしさ、人間性といえるものが重要だと思う。ともすれば経済合理性とか、生産性とか効率ということばかりが発達してきた部分があって、それが何かの歪みを生んでいるということもある。経済一辺倒ではなく、本来の私たちの幸福な暮らし、社会をつくるには、どうしたらいいのかということをすごく大切にしながら、そうした人間中心のデザインというものを意識して進めていく」と語った。

「Mistletoe」の金沢移転については「日本は東京に一極集中が進みすぎていて、地方創生などという話はよくあるが、なかなかそういった流れは実際に起こっていないようだ。自分も大都市に一極集中することは、メリットよりもデメリットの方が増えていると感じていた。そのためには私たち自身も自らアクションを起こさなければということもあり(移転を)決めた金沢は、もともと非常に長い、歴史的と伝統があり、工芸・モノづくり、アートなどに対して非常に文化的な厚みがある土地だ。素晴らしいクリエイター、アーティストがたくさんいる。

まずは、ここに私たちの本拠地を置かせてもらうことで、金沢に貢献ができると考えている。それだけでなく、”東京にいないと仕事ができない、仕事がしづらい”と言われるが、そういったことは本当になく、すでに私たちが自分たちで体感しているとおりだ。私たちがわかりやすいアクションとして、自ら魅力のある金沢に移転し、むしろこれまで以上に地域への貢献にもなり、国への貢献もできるようになることで、ますます私たちの活動が豊かになることを自ら証明してみたいと思う」と述べた。

「Mistletoe Japan」新代表に宮田人司が就任

同時に発表されたMistletoeクリエイティブ・オフィサーをつとめてきた宮田人司の新代表就任では大きな拍手が起きた。

この10年の金沢での宮田人司の活動をよく知る金沢在住の参加者は「これは大きな期待を込めての拍手。一緒に頑張ろうという意味が強い」と語った。
宮田人司はクリエイティブ業界で業績を重ねながら、2010年に東京から金沢へ仕事と生活の拠点を移し、数々のスタートアップを実現させてきた経歴を持つ。また、「Mistletoe」が推進する活動のパーマカルチャー領域を担う、「食と農」のプロジェクトを推進する株式会社OPENSAUCEの代表でもある。

新代表に就任した宮田人司は「われわれ「Mistletoe」はスタートアップの整備を世界規模で行い続けていくが、これから金沢で、クリエイティブや工芸、食や農業、さらに金沢の創造的で豊かな領域で世界と未来につなげていくような投資を積極的にやっていきたいと思う。ご来席の山野金沢市長が市長に就任されてから、スタートアップなどにかなり力を入れてこられた。「Mistletoe」が金沢に来たことによって、さらにそれを加速させて、もっともっと魅力のある金沢へ、若い人たちが楽しんでいけるような地域にしていきたいと思っている」と語った。

会見を行う宮田人司「Mistletoe」新代表
会見を行う宮田人司「Mistletoe」新代表

文化と人、起業家・クリエイターが注目する金沢

会見後に、ほかの都市ではなく金沢を選んだ理由を、RIFF編集部が孫泰蔵、宮田人司新代表の二人に改めて尋ねてみると、両者とも金沢の<文化>と<人>であると、その意味を改めて語った。

Mistletoeファウンダーである孫泰蔵は「(会見で述べたように)金沢は伝統や文化に厚みがあり、外からの技術・文化を受容して独自に発展させてきた土地。若い世代を育て、時代を越えて次世代に受け継がれていくものをつくりたいと考える「Mistletoe」は、そこに共感し、本拠地を金沢に構えることにした」と答えた。

また、宮田人司新代表も「私たちは、クリエイター・手仕事・食農など金沢の独創的で豊かな領域で、世界と未来に繋げる投資を積極的に行い、地域にも貢献したいと考えている。世界最先端のクリエイティブ、テクノロジー、そして人材の流入・交流を大きく加速させていきたい。金沢から、世界に向けて活動できるということを、自ら体現し、証明したい」と話した。RIFF編集部は、両者の言葉から、金沢の<文化>と<人>の持つ可能性への深い確証と理解を再確認した。

mistletoe_member
左からMistletoeマネージングディレクターの大蘿敦司、ファウンダーの孫泰蔵、新代表の宮田人司

「Mistletoe」の支援するスタートアップ企業が活動報告

会見イベントでは「Mistletoe」が支援・共同創業するスタートアップ企業も参加し紹介された。

ミスルト投資先スタートアップのプレゼン左から「no new folk studio」の菊川裕也氏、「Kitch Hike」の山本雅也氏、「WOTA」の北川力氏
左から「no new folk studio」の菊川裕也氏、「Kitch Hike」の山本雅也氏、「WOTA」の北川力氏

プレゼンテーションを行ったのは、水循環を用いた次世代の分散型水インフラの研究開発・事業展開を行う「WOTA株式会社」の北川力代表取締役。スマートフットウェア開発の先頭を走る「no new folk studio」の菊川裕也CEO。

そして、料理をつくる人と食べる人をつなぐ地域コミュニティサイトを運営する「株式会社キッチハイク」の山本雅也・藤崎祥見 共同代表。若い創業者らにより短い時間ではあったが、それぞれ事業内容が披露され、世界の未来を担う開発や新技術、既成概念にとらわれないアイデアと実行力に多くの参加者の関心を集めていた。(各社詳細は文末のリンク参照)

米アニメスタジオ「TONKO HOUSE」が金沢に新スタジオ開設。2020年にはトンコハウス映画祭開催を計画。

イベントではもう一つの発表が行われ、会場の注目を浴びた。
「Mistletoe」が支援する米・カリフォルニア州バークレーに本拠地を置く世界的アニメーションスタジオ「TONKO HOUSE」が、2020年春に金沢で日本法人の拠点となる新スタジオを開設。さらに同年夏には今年、新宿で約1ヶ月にわたって開催され連日満員だった、世界の秀作アニメを上映する「トンコハウス映画祭」を開催するというもの。

同社は東京に日本法人のスタジオを構えていたが、金沢を訪れた社員が「どこへ行っても絵を描きたくなる」と街並みを気に入り、2019年3月に拠点を金沢へ移し、新スタジオの開設準備を進めてきた。

トンコハウス創業者堤大介
米映画会社「ピクサー」のアートディレクターとして活躍した堤大介氏は、ロバート・コンドウ氏と共に「TONKO HOUSE」を設立。初監督作品『ダム・キーパー』は世界で20以上の賞に輝き、2015年の米アカデミー賞短編アニメ部門にノミネートされた

会見では、「TONKO HOUSE」の共同創業者・堤大介監督が発表と挨拶のためにアメリカよりかけつけた。新スタジオは江戸時代末期から2018年11月まで営業していた老舗料亭「壽屋」の金澤町家の魅力を残しながら再構築し、2階にアニメーション制作スタジオ、1階にはカフェを設けることを発表した。

なお、スタジオの開設については、衰退が進んでいる町家を活用しようと、金沢市が改修や設備導入などに補助金を出し、クリエイターやAIエンジニアの誘致を進めている「金沢AIビレッジ」事業の採択第1号になる。この事業の採択や金沢移転の実現は、「Mistletoe」との出会いや協力で生まれた。

スタジオでは午前7時からスケッチやデッサンなど作品制作に取り組む自社の朝活動「トン活」を市民向けにも開催し、ディレクターたちが参加者の指導にあたる。また一階のカフェでは朝食を提供するほか、アニメの原画作品などの展示も行い、国内外から訪れる人々が楽しめるようにしたいとのこと。

「TONKO HOUSE」の活動は、日本の新しいアーティストたちの育成ばかりではなく、金沢の文化面においても観光においても、貢献することになるのは確かだ。

金沢トンコカフェ
新スタジオが入る元老舗料亭。今後の活動に早くも国内外の期待が高まっている

2020年夏開催予定の「トンコハウス映画祭」は、「世界のアニメーションと出会う」をコンセプトに、古今東西の名作アニメーション作品を集めて上映するほか、イベント・ワークショップなども行っていきたいとのこと。

トンコハウス映画祭
2020年に映画祭の開催を計画中

A_RESTAURANTは食の実験・表現するラボ&ミュージアム

会見会場の「A_RESTAURANT」も、「Mistletoe」のコミュニティメンバーである「OPENSAUCE」が手がけるレストランだ。世界中のシェフが集い、さまざまなレシピを集めてオープンソース化し、まったく新しい体験を生み出す食のミュージアムとして間もなくグランドオープンをする。

料理の器や卓上の花器・ランプ、バーカウンター上に据えられたシャンデリアはコミュニティ・メンバーである金沢の「secca」が創り出したもの。店内入口にはAI水循環システムで世界に注目されるWOTA の浄水システムも設置されており、利き酒のように利き水を体験することもできる。「A_RESTAURANT」が「Mistletoe」の目指す、世界と未来を繋ぐ活動を実験・表現するラボでもあることを実感させらたという声も多かった。

金沢A_RESTAURANT
会見後のディナーの様子
secca製作の磁器によるシャンデリア
secca製作の磁器によるシャンデリア
「A_RESTAURANT」に常設される「WOTA」の浄水システム。出汁に合う、水割りに合う水質なども設定できる
「A_RESTAURANT」に常設される「WOTA」の浄水システム。出汁に合う、水割りに合う水質なども設定できる

宮田人司新代表は冒頭のあいさつで「このレストランも、1年半前に作った会社、「OPENSAUCE」でつくっているレストラン。例えば店のデザインも、ここにある家具だったり器だったりも、すべてが「Mistletoe」のコミュニティのメンバーで、自分たちの手でつくっている。実はこれは凄いことだと思っている。本当にこんなものがつくれてしまうんだと。このレストランを作った理由も、私たちが考えていることを体験していただく場であるという意味が込められている。今日の食事もシェフたちがいろんな料理を考えてつくってくれているが、内容も少し変わったものが出てくる(実際に全9品の予想できない料理とペアリングのドリンクが提供された)。それをQRコードで見ていただくと、メニューが仕掛けられていて理解をしてもらえ、レシピも公開されている。一つこの場を私たちの活動の発信の場ととらえてもらいたい」と話していた。

金沢A_RESTAURANTの料理
当日のメニュー全9品の由来やレシピが公開中。
メニュー詳細https://a.restaurant.co.jp/creative_global_kanazawa/list_ja.html)
テ金沢A_RESTAURANT設置の、seccaによる枠折敷とテーブルランプ
テーブルに精神性と彩りをもたらしたseccaによる枠折敷とテーブルランプ。
金沢A_RESAURANT
この日のレストランは国内外のゲストが交流するサロンとなった。

当日はディナー終了後も多くの参加者が長時間店内に残り、「Mistletoe」の今後の活動やレストランへの期待、金沢についてと様々な会話が飛び交い、「国際的で、いる場所を忘れてしまうほどの斬新な会見イベントだった」と話すゲストがいた。
RIFF編集部も今後はMistletoeのミッションの一端を担う気持ちを忘れず、内容の充実を図りたい。

Mistletoe Japan

TONKO HOUSE 

WOTA株式会社

株式会社 no new folk studio

株式会社キッチハイク

株式会社secca 

A_RESTAURANT

取材:RIFF編集部(2019年8月30日)