2019.07.15

香港の廃ビル地帯で深夜のみ営業している屋台の焼豚飯

香港には3ヶ月滞在する契約だったのですが
その間は親が死のうが他所で100億のギャラの仕事があろうが帰れまてんという非人道的なものだったので
到着した私はまずギターとゲームを買いに行きました。
ギターは即日スペインの悪童に落書きされました。

翌日、私がキャスティングから帰るとリビングに落書きギターでチルボドを弾いているアジア人がいます。
聞くと悪童の友人で生粋の香港人。
楽器に続き現地人でバンドマンで職業ギター講師趣味メロデスというパーフェクトな友人をあっさり手に入れる事が出来た私。
ランカイフォンでクラブに行くよりも彼と遊ぶ事が増え、最後の1ヶ月は仕事で上海に行った四日間を除き、毎晩一緒にいる程お世話になりました。

びっくりした事が、香港ではスタジオで練習をしない事。
スタジオはあっても高額すぎて本気のレコーディング以外では利用しないらしい。

じゃー香港のバンドマン達はどこで練習しているのかというと、安いマンションの部屋(初めて行った時は事件を覚悟したレベルの廃墟)を借りてそこをバンドルームにしていたのです。

全然話が変わるのですが、もう一つ香港でびっくりした事といえばこれ

香港スタイルのバーベキューは直火焼きそして調味料がハニーのみ
自称美食家のイギリス人ルームメイトはずーっと小声でソルトと言っていました。

チャーシューファン(焼豚飯)

香港には美味しいお店がたくさんありますが、現地人が食べるリアルなファーストフードを知りたい欲求が止みませんでした。
そして吉野家と味千ラーメンがやたら目に付いた香港で私がはまってしまったものが、焼豚飯/チャーシューファンでした。

まず見た感想はしょぼい。米の上に焼豚が乗ってるだけ。
が、食べると胡麻油と塩分が絶妙でご飯がすすみます。
辣油を多めにかけて食べるのが私は好きでした。

何故あんな環境で営業していたのか今だに謎なのですが
深夜バンドルーム帰りになると必ず営業している屋台がありました。

2ヶ月間週2は通って他の客というものを一度も見た事がありません。
通りは無人、むしろ野良猫が大量にいる廃ビル地帯。
親父無言、灰皿は地面。
しかしその屋台の焼豚飯こそが一番美味しい焼豚飯でした。

歳を重ねるにつれしみじみと思うのですが、私の母は料理が得意ではなかったと思います。手抜きをするわけでもなく、特別に凝るわけでもない母の手料理。それでももし死ぬ前に何が食べたいか?という質問をされたら、私は即こう答えます。
母の豚の生姜焼きです。