2019.08.14

「沈夫人の料理店 1」【私の食のオススメ本】

2019年10月開業予定 レストランスタッフ大募集!

  • 書名 沈夫人の料理店 1
  • 著者 深巳琳子
  • 発行所 小学館
  • 発行年 2009年

中国料理というものには不思議なエロティックさが漂っています。

その考えが明確になってきたのは、ビックコミック・オリジナル誌に連載された漫画・深巳琳子の『沈(シン)夫人の料理店』に出会った頃からだと思います。この漫画は一度ビックコミック本誌で連載された「沈夫人の料理人」の設定を14世紀から17世紀頃の中国・明朝1920年代の近代中華民国、上海に移したものです。



主人公のお屋敷勤めの元料理人・李三は乱れる国家と外敵の侵攻で食い詰め、上海に流民としてやって来ました。日雇いで稼ぎやっとの思いで屋台の粥屋を始めます。偶然通りかかった租界に住む裕福な夫人が粥を食べるところから始まります。

その出会いから料理を通した主従関係というものが始まります。二人とも味覚というものに、つまり舌に支配されながら、表向きは夫人のツンデレ一辺倒なのに、実は主従関係が心の中で複雑に交錯していきます。

これは増村保造と若尾文子で映画にして欲しかったなあ、と思う名作漫画です。

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WRITER Joji Itaya

出版にたずさわることから社会に出て、映像も含めた電子メディア、ネットメディア、そして人が集まる店舗もそのひとつとして、さまざまなメディアに関わって来ました。しかしメディアというものは良いものも悪いものも伝達していきます。 そして「食」は最終系で人の原点のメディアだと思います。人と人の間に歴史を伝え、国境や民族を超えた部分を違いも含めて理解することができるのが「食」というメディアです。それは伝達手段であり、情報そのものです。誰かだけの利益のためにあってはいけない、誰もが正しく受け取り理解できなければならないものです。この壮大で終わることのない「食」という情報を実体験を通してどうやって伝えて行くか。新しい視点を持ったクリエーターたちを中心に丁寧にカタチにして行きたいと思います。