2022.03.26

ビッグイシュー370号
特集 高校生、食に挑戦する【私の食のオススメ本】

ザ・ビッグ・イシュー 表紙

  • 書名:THE BIG ISSUE日本版 ビッグイシュー370号
       特集 高校生、食に挑戦する
  • 発行所:有限会社ビッグイシュー日本
  • 発行年:2019年11月 

ビッグイシューは「ホームレスの仕事をつくり自立を応援する」雑誌販売のシステムで1991年にロンドンでジョン・バードが始めた。東京ではそれぞれ短い期間ではあったけれど顔馴染みの販売者の方がいた。金沢でも香林坊で販売されている方がいたが、最近はたまたまなのか販売者を見かけない。今ではバックナンバーも含めてWEBでも購入することができるようになった。

この号は2019年のバックナンバーだ。2022年3月現在でも入手可能なようだ。『全国高校生WASHOKUグランプリ』の優勝者に関わる取材を行ったり、関係グループに新しい農業を提唱する素晴らしい会社『KNOWCH』という農業法人もあり、その特集タイトルに興味を惹かれ購入した。

コロナ禍が続き、調理師学校への入学希望者が減少し、飲食店への調理人志願者が足りなくなっている。特に農業従事者の高齢化問題は逼迫している。 平成30年間で平均年齢は約10歳高齢化した。2025年の予測では、約7割が65歳以上になるいう。農地面積も50年前の580万haが、2019年には440万haに減少。

農業高校を出て農業に従事する学生は数パーセントと聞いたことがある。しかし、この号で取り上げられた、農家出身者は1割未満という三重の全寮制農業高校・愛農学園農業高等学校の記事で少し希望を持てた。(RIFFでは農業高校をテーマにした、『鋼の錬金術師』で著名な北海道の農業高校出身の女性の漫画家・荒川弘の『銀の匙 Silver spoon』で紹介している)

やはり教育というのは教育者の姿勢なのだと思わせる取材だった。卒業生の45%が就農という「一人ひとりの高校生を主役にする現場」はその教育者を支える地元行政の姿勢も重要だ。

ビッグイシューの視点や取材は未来を考えさせる。また海外のインタビュー記事も政治家オードリー・タン、俳優のジェニファー・ローレンス、ダニエル・クレイグなどが登場し、世界はどうあるべきかという意見を発信している。

まずは興味のあるバックナンバーを探して読んでみてほしい。そして、こういうシステムで売られているマガジンがあることをもっと知ってもらいたいと思う。

WRITER Joji Itaya

出版にたずさわることから社会に出て、映像も含めた電子メディア、ネットメディア、そして人が集まる店舗もそのひとつとして、さまざまなメディアに関わって来ました。しかしメディアというものは良いものも悪いものも伝達していきます。 そして「食」は最終系で人の原点のメディアだと思います。人と人の間に歴史を伝え、国境や民族を超えた部分を違いも含めて理解することができるのが「食」というメディアです。それは伝達手段であり、情報そのものです。誰かだけの利益のためにあってはいけない、誰もが正しく受け取り理解できなければならないものです。この壮大で終わることのない「食」という情報を実体験を通してどうやって伝えて行くか。新しい視点を持ったクリエーターたちを中心に丁寧にカタチにして行きたいと思います。