- 書名:日本人は何を食べてきたか
- 著者: 原田信男
- 発行所:角川ソフィア文庫
- 発行年:2010年
この本は1995年にNHKブックスから出版された「木の実とハンバーガー〜日本食生活史の試み」を新たに内容を圧縮し、補筆されたもので、内容はタイトルそのままだ。
三章の「”聖”なる米の選択」で古代国家が米の神聖化とともに成り立っていくことや、四章の「農業と自然・中世の農業と食生活」の中央集権の解体で実力社会ができあがり、食の身分差が出てくるあたりも現代につながってくるので興味深い。
また、肉食を死と結びつけ、穢れとしていくことで、身分差別へとつながり、日本人の意識に現在でも残ったことが五章で読み解ける。
昭和が終わり、平成、令和とだんだんと薄れていく、日本の食卓の風景については、現代の食の再スタート地点の確認として知るべき部分だ。
出版にたずさわることから社会に出て、映像も含めた電子メディア、ネットメディア、そして人が集まる店舗もそのひとつとして、さまざまなメディアに関わって来ました。しかしメディアというものは良いものも悪いものも伝達していきます。 そして「食」は最終系で人の原点のメディアだと思います。人と人の間に歴史を伝え、国境や民族を超えた部分を違いも含めて理解することができるのが「食」というメディアです。それは伝達手段であり、情報そのものです。誰かだけの利益のためにあってはいけない、誰もが正しく受け取り理解できなければならないものです。この壮大で終わることのない「食」という情報を実体験を通してどうやって伝えて行くか。新しい視点を持ったクリエーターたちを中心に丁寧にカタチにして行きたいと思います。