2021.07.28

十枚食べたら十年寿命が延びる!?ケンニップキムチ〜オカンの韓国家庭料理 Vol.11

年々暑さが増している夏本番の時期。日本に気候の近い韓国では、夏を乗り切る常備菜の一つに『ケンニップキムチ』という、えごまの葉のキムチがある。
夏にはムルキムチやオイキムチが有名だが、暑い太陽を浴びて生い茂るえごまや大葉の葉をヤンニョン醬で漬け込むこの“パンチャン”=「おかず」。

実は、他のキムチに比較して、とっても簡単に作る事ができる食卓の強い味方だ。

えごまは紫蘇科の一種で、その効能が近年再び注目されているスーパーフードの一種だ。えごまの実も香ばしくて栄養豊富だ。またその葉は『十枚食べると十年寿命が延びる』と言われる程、健康に良いと言い伝えられている。別名「ジュウネン」と呼ばれる所以でもある。

えごまは、その独特な香りから好き嫌いがハッキリと分かれるが、韓国では非常に好まれる傾向にあり、サラダ菜としては勿論、肉を好む国民柄、焼き肉の付け合わせには欠かせない。特にサムギョプサル「豚の三枚肉」では、豚肉の脂をサッパリとさせてくれる為、サンチュと一緒に巻いて食べるのが一般的だ。

このえごまの葉のキムチ=“ケンニップキムチ”が、簡単にお家で手作り出来る。

日本人には強過ぎる香りのえごまの葉。代用として、日本人向けに大葉の葉で漬け込むと、まさに”ごはん泥棒”になる、夏にお勧めの食べ方である。

今年は知人の畑で採れた、新鮮な大葉をたくさん頂いたので、大量消費レシピとして紹介したい。

ケンニップキムチのレシピ

準備する基本の材料は麺つゆとごま油。ベースはこのふたつの材料を1:1で混ぜて作るヤンニョン醬だけである。

七味唐辛子でも可!

後は好みでパンチを効かせたければニンニクを、辛さが欲しければコチュジャンや粉唐辛子をたっぷりと振るう。麺つゆの代わりに醤油を使って和風に仕上げても良い。

海水くらいの塩水を準備したら、30分ほど葉っぱを浸し、流水で洗い流す。この際に汚れ等も取り除く。

大事なポイントは、少し手間だが混ぜ合わせたヤンニョン醬を一枚一枚丁寧に葉に塗ること。

刷毛で塗っても、スプーンの背で塗っても良いが、この工程だけは必要不可欠だ。

塗り終わったら、ラップでしっかりと密閉させ、冷蔵庫で半日から一日漬け込む。

あっという間に「ごはん泥棒」の完成である。炊き立ての白米は勿論、素麺やお蕎麦の薬味として、またお肉と一緒に炒めても万能に使える。

美味しい料理を作る事に余念の無い僕のオカン。 時短も勿論だが、手抜きには見えない手抜き料理も大得意。 そんな母が『このケンニップキムチは漬けダレが命!』と、良く話していた。

麺つゆの利用を思い付くまでは、醤油・砂糖・みりん・出汁…と、準備も一苦労だった様だが、ある日『お母さん大発見したの。この(ケンニップ)キムチは、麺つゆ利用したらあっという間なのよ。』と、誇らしげに語っていた。大学生の夏休みを思い出す懐かしいこの味。

食欲減退しがちなこの季節、夏バテしないように是非お試しあれ!!

WRITER Taishi Joh

沖縄にルーツを持つ父親と、韓国人の母との間に産まれ、幼い頃から日本食とは一風変わった食卓で育ちました。
転勤族の父親に付いて、全国津々浦々に移り住み、グルメな母親の影響で週に一度は外食をしていました。
それでもやはり、一番好きな食事は母親の手作りです。母も小まめに料理を作り、夕飯の家族一緒の団欒はかけがえのない想い出です。
今でも月に一度の頻度で、田舎の特産品や母親手作りの常備菜が届きます。
そんな私が、もう永住するしかないと決めた大好きな街、金沢。
其処から全国、ひいては全世界に向けて食のあり方を発信することが出来る私たちの会社を誇りに思い、末端ながらお仕事出来る喜び…と、美味しい賄いを噛み締めている毎日です。