もっぱらビール党の私ですが、Barmanのはしくれとしてカクテルのお話を。
カクテルの名前には作られた由来や意味、花言葉のように”カクテル言葉”があります。
Barという空間がオシャレで洗練された大人な場所のイメージに思えるのは、カクテルひとつひとつのロマンチックな意味やカクテル言葉が大きな要因かもしれません。
代表的なカクテル言葉としては、ラムベースのショートカクテル X・Y・Z ですかね。
アルファベットの最後 - XYZ なので、これで最後・これ以上ない美味しさといった意味があり、カクテル言葉は ”永遠にあなただけ”です。
何度目かのデートの終盤、隣に座るステキ女子がX・Y・Zなんて頼もうものならもぉ完全に惚れてまうやつです。
まぁ実際私がそんな場面に遭遇しても”これで最後…振られてるやん!と勝手に落ち込んでしょんぼり帰りそうですが…
話がそれましたが、個人的に面白いと思うのが”プース・カフェ”です。
プース=押しやる・カフェ=コーヒー なので、甘みの強い食後酒という意味で、カラフルなシロップやリキュールが何層にも重なった美しいカクテルのスタイル。
中でも”レインボー”というカクテルは、名前の通り種類の異なるリキュールを7層に重ねストローで好きな層から1層ずつ楽しむ華やかなカクテル。
液体同士なのになぜ混ざり合わないかというと、アルコール度数・糖度・原材料のエキス濃度によってそれぞれ比重が違うからです。
そのため、レインボーを作るには7種類のリキュールやシロップの比重を熟知し、かつ混ざらないようにバースプーンを使い慎重に注ぐBarmanの技術(フロート)と相当な神経を使います。
オーダーの際は、リキュールをストレートで飲むことになるため度数が高くなる点と、相当な手間が掛かるため、店内の状況を見てオーダーしていただけるとお店側も助かります。
ちなみに私は全く綺麗に仕上げられなかったので参考画像はありません(苦笑)
代わりに、レモネードと赤ワインがキレイに2層に分かれた”アメリカン・レモネード”を貼っておきます…
赤ワインの酸味とレモネードの甘みが見事にミックスされたステキ女子推奨なカクテルです。
私のフロートスキルの低さが露呈したところで、プース・カフェの話に戻ります。
プース・カフェのカクテル言葉は“恋の駆け引き”
いくつものリキュールを混ざらないように(壊さないように)慎重に丁寧に積み重ねていき、最後には美しい一つのカクテルが完成する(恋が実る)といったところでしょうか。
大切に優しく扱ってくれるマメな男性がモテるのは昔も今も変わらないのでしょうね。
こんなステキなカクテル言葉の裏にはもう一つ、こんな話が。
昔々、ある男が外国で現地の美しい女性と出会いひと目で恋に落ちました。
男はその美しい女性をどうにかモノにしようと、慎重に大切に扱い必死に口説き落とします。
ハイセンスなファッションに包まれたその美しい女性の衣を、念願かなっていざ剥がしてみると…
なんの変哲も無い。ことに及んでもなんの面白みもない。
期待とは真逆な結果でした。
そう、カラフルなリキュールが重なって美しいプース・カフェは、いざ(混ぜて)飲んでみると正直おいしくない… (比重と見た目を第一に考えて作るとそぅなりますよね)
つまり、見た目だけの女性には気をつけろ!という意味も隠されています。
※諸説あり…原文は国名や汚い言葉が並びますが柔らかく書いておきました
このようなカクテルの裏話なんかもしながら、今宵もBarで愉しい時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。
元音響エンジニアのバーマン。
外食はコンサートと同じ。料理やドリンク、空間やサービスで楽しいショーを体験する時間。ステージを彩るドリンクで、ショーの一翼を担う。