2022.01.12

A_RESTAURANTノンアルコールペアリング 2021年11月-12月

A_RESTAURANT金沢のキャベツ太郎インスパイアペアリングドリンク

金沢・片町のA_RESTAURANTでは、コースの料理のそれぞれに、ノンアルコールドリンクのペアリングをご提供しております。

バーマンによる独創的な発想から生み出されるA_RESTAURANTのノンアルコールペアリング。
本記事では、固定概念にとらわれず、他では類をみないドリンクたちのペアリング要素やレシピ、発想や思考の一部を解説いたします。

今回は、2021年11月-12月のA_RESTAURANTコースメニューと、ペアリングドリンクのレシピをご紹介します。


Intro : かぶら

Pairing Drink : Plants KOMBUCHA

焦点 : 華

冬の金沢の名物でもある”かぶら寿司”をヒントに生まれた一皿。
スライスしたカブの下には〆た魚が隠れていて、左右違うソースで全く違う味を楽しめる。

テーマである”かぶら寿司”の発酵のイメージで、ドリンクも発酵させたモノを合わせる。

テーブルでゼストする柚子の香りにも合わせ華やかなフレーバーのドリンクを。

Plants KOMBUCHA

グラスにレモンピール、ライムピール、クラッシュアイスを適量詰め、発酵させたコンブチャを40ml注ぐ

  • グレープフルーツ(果肉)× 1
  • オレンジ(果肉)× 1
  • ドライラベンダー × 3g
  • レモングラス × 5g
  • バイマックル × 0.5g
  • 水 × 1200ml
  • グラニュー糖 × 120g
  • 自家製コンブチャベース+スコビー × 液量の10%

カットしたフルーツの果肉とハーブ類を保存瓶に入れ、水を加えて水出し紅茶のように2日間ほど冷蔵で抽出。

鍋に濾して一煮立ちさせ(殺菌の意味もあるが、沸騰させると香りが飛ぶので数秒で)火を止めてグラニュー糖を加え溶かす。

ポリカーボネートのカップに注ぎラップをして氷水につけ急冷。冷えたら保存瓶に注ぎ、液量の10%の自家製コンブチャベース(2回目以降は前回作ったもの)とスコビーを加え、ペーパーなどで封をして空気を通しつつゴミが入らないようにし2-3日室温で発酵させる。

金沢A_RESTAURANTのPlants-KOMBUCHAモクテル

Interlude : 海老芋

Pairing Drink : なし

ペアリングドリンクなし

shrimp-potato-soup-A_RESTAURANT-kanazawa

Verse : 苺

Pairing Drink : ストロベリーハット

焦点 : 緑

“割る”がテーマの一皿。いちごのピューレを丸く球体に仕上げプチっと割る。レモンオイルも飴の中に閉じ込めこちらもプチっと割る。苺の甘酸っぱさとオイルの爽やかな香りに合わせ、ドリンクも酸味を持たせ爽やかに。
ライムのコーディアルをソーダアップしグラスのステムにレモンバームを結び苺の帽子(ヘタ)を表現。

ストロベリーハット

  • ライムコーディアル 15ml・・・
  • Fever Tree premium soda × 30ml

※ライムコーディアル

  • ライムの果肉 5(対比)
  • グラニュー糖 3(対比)
  • レモングラス
  • フレンチタラゴン
  • レモンバーム

適当にカットしたライムの果肉全体にグラニュー糖をまぶし、浸透圧でエキスを抽出。ハーブを漬け込み香りをインフューズ

A_RESTAURANT金沢の苺料理

Interlude : 淡路島たまねぎ

Pairing Drink : キャベツ太郎

焦点 : 農場

A_RESTAURANT金沢の淡路島たまねぎ

炭焼きで真っ黒に焦がしたたまねぎ。たまねぎチップスの蓋を開けると中には濃厚なスープ。たまねぎの層の間にはトリュフが挟まれている。

スモークを閉じ込めた演出は畑の隅で農家さんが藁焼きにして焼き立てを食べさせてくれるような印象を受ける。

なので僕はそのたまねぎ畑のお隣さん。キャベツ畑をドリンクで表現してみる。

焼いたたまねぎの甘みと香ばしい香りにはキャベツの旨味を重ねて大きな農場を彷彿とさせたい。

かといってキャベツから野菜ダシをたっただけだとただのコンソメスープになるので、クリアなモクテルに仕上げ、ハーブを加え香りで引き締め見た目にも緑の草で農場をイメージした。

アクセントに加える幸福回転パウダーは濃縮コンソメを乾燥粉砕してパウダー化したもので、某スナック菓子の魔法の粉のような味になったため、ドリンクの名前自体もリスペクトを込めてスナック菓子から取った。

A_RESTAURANT金沢のキャベツ太郎インスパイアペアリングドリンク

キャベツ太郎

  • 濃縮コンソメ × 2Drop・・・※
  • クリアコンソメ蒸留水 × 20ml・・・※
  • フレンチタラゴン 適量
  • セージ × 1枚
  • カチワリ氷
  • 幸福回転パウダー 適量・・・※

※濃縮コンソメ/キャベツ蒸留水/幸福回転パウダー

  • キャベツ × 1/2コ
  • ニンジン × 1コ
  • セロリ × 1コ
  • 赤パプリカ × 1
  • 水 × 1000ml
  • 五島列島藻塩 × 5つまみ
  • イエローマスタード × 2tsp
  • ディジョンマスタード × 2tsp
  • ケッパー × 4粒
  • ケッパー煮汁 × 1tsp
  • クルミ × 15g
  • フェンネルシード × 3.5g
  • レモンバーム × 2.5g

クルミを軽く潰しフェンネルシードと一緒に煎って香りを立たせる。

赤パプリカの表面を焦げるまで焼く。そのほかの野菜をざく切りにし、焦がしたパプリカと一緒に鍋に入れ水と塩を加え沸騰させる。

弱火で40min煮込み、火をとめてクルミとフェンネル、レモンバームを加え蓋をして5min待つ。

鍋の中で野菜をマッシャーで潰してから濾す。
濾したリキッドにマスタード2種(粒は潰す)を溶かし、ケッパーの瓶の汁、ケッパーの実を潰して加え急冷後一晩冷蔵庫で香りを落ち着かせる。

一晩寝かせたコンソメリキッドをロータリーエバポレーターにセット。
真空度 65hPa / 回転数 200rpm / hot bath 40℃ / condenser -15℃
蒸留した2次側はクリアコンソメ蒸留水に

濃縮した1次側は濃縮コンソメに。
濃縮コンソメを耐熱容器に薄く広げ、ディハイドレーターで2日ほど水分を抜き乳鉢でパウダー状にしたモノが幸福回転パウダー。

グラスの底に濃縮コンソメをドロップしタラゴンを適量入れ、その上にカチワリ氷を乗せる。

クリアコンソメ蒸留水を注ぎグラスの内側にセージを貼り付け、氷の上に幸福回転パウダーを少量だけふる。

A_RESTAURANT金沢の淡路島たまねぎ
A_RESTAURANT金沢のキャベツ太郎インスパイアペアリングドリンク

Bridge : 香箱蟹

Pairing Drink : 隣の芝生は青い

焦点 : 羨望

メニューに”香箱蟹”と書かれていてコレが出てきたら金沢の人はみんなこう思う
” おもってたんと違う(笑 )”

金沢人なら誰でもが思いうかぶ ” カニ面 ” とは全く異なる見た目と味
おでん屋のカニ面なら横に練りカラシがついているだろうけど、ウチはブレンドしたスパイス。

ほんとに。おもってたんと違う(笑)

ペアリングドリンクは前回も登場した “ 隣の芝生は青い “
ココナッツの風味と緑の野菜香りは甲殻類と相性が良くソースやスパイス感をより引き立ててくれる。
※詳細は前回の記事を参照

A_RESTAURANT金沢のペアリングドリンク、隣の芝は青い
A_RESTAURANT金沢のペアリングドリンク、隣の芝は青い

Chorus : 鹿児島黒牛

Pairing Drink : 焼きパイン infused chili

焦点 : 加熱

和牛日本一にも輝いた鹿児島黒牛の旨味、セルフィーユルートのほっくり感、ヒメリンゴの甘酸っぱさとトリュフの香り。”肉食った感”の一皿には前回に続きローストしたパイナップルのドリンクを合わせる。リンゴの酸味とパイナップルの酸味の相性が良く、さらにはローストによる引き出された甘み、レーズンのフレーバーや煎ったナッツのオイル感が肉の旨味を引き上げるし、なんといってもウイスキーオークのスモークによる薫香は演出も含めメインにふさわしい一杯になる。

※詳細は前回の記事を参照

black-cattle-beef-dish-A_RESTAURANT-kanazawa
pairing-drink-infused-chili-smoke-mocktail-A_RESTAURANT-kanazawa
pairing-drink-infused-chili-smoke-mocktail-A_RESTAURANT-kanazawa

Interlude : 口直し

Pairing Drink : なし

ペアリングドリンクなし

A_RESTAURANT-kanazawa

Solo : たい

Pairing Drink : SAKE PINK

焦点 : 発酵

熱々に熱した土鍋の鯛めし。半分減ったらお出汁をかけて鯛めし茶漬けに。土鍋で出来るおこげの香ばしさや出汁の風味にはキリっと冷えた冷酒を合わせたい。
ということでノンアルコール日本酒を作ってみた。

sea ​​bream rice 鯛めし

米の甘みが残るライスミルクをウォッシュしてクリアでシャープに。甘みを抑えつつ米由来のフレーバーと麹発酵の深みを残す。自家製ビネガーでお酢発酵の酸味とフルーティーな香りを加えた。

ただ、ここまでだと日本酒のキレが再現できていない。そこで大根の辛味でキレを再現してみた。すりおろした搾り汁だと大根の香りが強すぎてどーしたものかと一旦アク抜きしてみた。

紅心大根を水に漬けると色素が溶け出し鮮やかなピンクの水になる。単純に綺麗な色なので何かにつかえないかなぁと飲んでみると求めていた適度な辛味と香り!まんまこれ使えるやんけ!ということでそのまま採用。

甘口でフルーティー。かつピリっと辛味もある。綺麗な色をしたノンアルコール日本を表現できた。

SAKE PINK

  • 紅心大根エキス × 1tsp・・・※
  • ブレンドフルーツビネガー × 1tsp・・・※
  • ウォッシュド ライスミルク × 20ml・・・※
  • キューブアイス × 1
  • 紅心大根スライス × 1

※紅心大根エキス

ボールに塩と水を張りスライスした紅心大根のアク抜きをした時のエキス

※ブレンドフルーツビネガー

  • 穀物酢 1 : 米酢 1 : アップルビネガー 1 : グラニュー糖 1 軽く沸騰させて酸を弱め温かいうちに糖を溶かし入れる。
  • 季節のフルーツの果肉を適量漬け込む。

※ウォッシュド ライスミルク

  • 福光屋/発酵ライスミルク × 500ml
  • クエン酸 × 0.3g

湯煎したライスミルクにクエン酸を数回に分けて溶かし、バースプーンでゆっくり攪拌し、急冷後コーヒードリッパーで濾して透明にする。

グラスにリキッド全てを入れ軽くステア。キューブアイスを入れ上面にスライスして型抜きした紅心大根を乗せる。

A_RESTAURANT金沢のSAKEPINK

Outro : 富士柿 クアハーダ / バターナッツかぼちゃ

Pairing Drink : 未来のやきいも

焦点 : 未来食

特殊な製法で透き通った柿を鋭角にカットした感じがどこか未来感っぽく感じるデザート。

ドリンクでも未来感を出せないかと考えつつも、とりあえず季節感ペアリングとして柿がくれば芋かなと思い、やきいも×エスプレッソの組み合わせは個人的に気に入っていたので前回のサツマイモドリンクに手を加える。

さうまいもを焼いてミルクと合わせピューレしエスプレッソに溶かした芋プレッソ。キャラウェイの甘い香りとバニラシロップで苦くて甘いデザートモクテルに仕上げた。

さて。未来感どぉしよう・・・

やきいものピューレとにらめっこしてても何も浮かばないし、そろそろ帰らなきゃだけどこの大量のピューレ痛ませてももったいないし、真空冷凍するのもめんどくさいし。とりあえず水分飛ばして保存しよ!ってことでディハイドレーターに入れてその日は帰ったんですけど…

翌日、お腹減ったので乾燥したやきいもピューレかじってみたら単純にめっちゃおいしい(笑)

しかもなんとも言えない食感。表面めちゃめちゃ硬いのに内側はグニュっと生キャラメルみたいな食感。最初、全く味がしないのに噛み続けると口の水分で乾燥から復活して突然やきいもの味が襲ってくる。

さつまいもの栄養素そのまんま閉じ込めた究極の保存食!宇宙食とか未来食っぽい!
三角にカットして未来感をさらにイメージさせて完成。

カップの上に乗せて最初にドライさつまいもを噛んで、無味から強烈にやきいもの味が襲ってきたタイミングで芋プレッソの飲んでもらう。

未来感を形に出来たつもりだけど、冷静に考えたらこれ昔からある干し芋じゃん…て完成してから気づいたのはナイショです(笑)

A_RESTAURANT金沢のコース料理富士柿クアハーダ/バターナッツかぼちゃ

未来のやきいも

  • さつまいもピューレ × 1tsp・・・※
  • エスプレッソ × 60ml
  • ドライやきいもガーニッシュ × 1

※さつまいもピューレ

  • サツマイモ × 2
  • 無調整ミルク ×やきいも質量の1.5倍量
  • キャラウェイ × 1tsp
  • 1883 バニラシロップ × 10ml程(味をみて調整)

さつまいもを洗いキッチンペーパーで包み水分含ませアルミホイルで包む。オーブンで160℃余熱なしで100min焼く。

焼き上がったら皮を剥がし実を手で崩してブレンダーカップに入れミルクを注ぎ攪拌。

しっかり攪拌できたらシロップを加え味見。半分はキャラウェイを加え一晩香りをインフューズしてそのままピューレとして使う。残りの半分はクッキングシートに薄く伸ばしディハイドレーターでドライにする。

ビーカーにピューレを入れエスプレッソを注ぎ溶かす。ストレーナーで濾してエスプレッソカップに注ぐ。

ガーニッシュを乗せる。

A_RESTAURANT金沢のコース料理ペアリングドリンク未来のやきいも

元音響エンジニアのバーマン。
外食はコンサートと同じ。料理やドリンク、空間やサービスで楽しいショーを体験する時間。ステージを彩るドリンクで、ショーの一翼を担う。