- 書名:レシピを見ないで作れるようになりましょう。
- 著者:有元葉子
- 発行所:SBクリエイティブ
- 発行年:2017年
レシピはどのように伝えるべきか。こんな簡単で、難しい問題はあるだろうか。そんなことからレシピにまつわる本を探していて本書を見つけた。
専業主婦時代に作った料理が評判になり料理家となった有元葉子は、レシピはあくまでも参考書だと言う。作る「自分」と「食材」が直接向き合うように、自分の勘所で鍋の中と相談しながら作ることを勧める。
ナビばかり見て運転していると、どこそこに看板があったはずとかを頭に入れることがなくなり、周りの状況を見ることなく自力で目的地に行けなくなると例える。つまり、最初から細かいグラム数などに頼らず、作り方の流れや勘所を頭に入れてから、レシピを参考にしろと言う。
料理のこころがけの第一番目に挙げているのは「思い切ってやってみる」である。著者が語る「料理はもっともっと、シンプルでいいのです」ともつながる。
ただ、菓子作りの初歩は少し違うのだろうとは思うのだが。
本書では野菜や肉を、炒める・煮る・揚げる・和える・焼くというカテゴリーでそれぞれ「野菜を鍋の中に置く。そして広げる。混ぜることはしません。ヘラで野菜の上下をさっと返すだけ。」といったように中途半端な料理知識をどんどん捨てさせてくれる。
目から鱗は「私も母から学びました。残り野菜はどんなものでもかき揚げにすると美味しく食べられる」という言葉であった。なるほど、油仕事は大変だと思う人も多いと思うが、それ以外の手間は一気になくなるのだ。
出版にたずさわることから社会に出て、映像も含めた電子メディア、ネットメディア、そして人が集まる店舗もそのひとつとして、さまざまなメディアに関わって来ました。しかしメディアというものは良いものも悪いものも伝達していきます。 そして「食」は最終系で人の原点のメディアだと思います。人と人の間に歴史を伝え、国境や民族を超えた部分を違いも含めて理解することができるのが「食」というメディアです。それは伝達手段であり、情報そのものです。誰かだけの利益のためにあってはいけない、誰もが正しく受け取り理解できなければならないものです。この壮大で終わることのない「食」という情報を実体験を通してどうやって伝えて行くか。新しい視点を持ったクリエーターたちを中心に丁寧にカタチにして行きたいと思います。