- 書名:農と食と地域をデザインする〜旗を立てる生産者たちの声
- 著者:長岡淳一/阿部 岳
- 発行所:新泉社
- 発行年:2019年
クリエイティブディレクター長岡淳一とアートディレクター阿部岳は2013年に共同で、農業をはじめとする1次産業の活性化を目標としたデザイン・ブランディングカンパニー=(株)ファームステッドを立ち上げた。
本書はその実例集。彼らのプレゼンテーション本と簡単に言われるかもしれないが、彼らの力を導入した農家との対談形式で語られるその内容には多くの気付きがもらえる。
どんなにAIが導入されても、農作業自体はどこまで行ってもその経験の積み重ねに基づく。それは変わらないと思う。
ただし、ロゴのある農家、機能性だけではないデザインされたワークウエア、出荷物や商品のパッケージ、それがあるだけで働く人のモチベーションが上がる。
作物や地域、農家の意思が伝われば市場も変わる。地域もまとまる。農業従事者も集まる。
農業のブランディングは次の時代に入っている。農業が何を必要としているか。あきらかにデザインという概念が日本の農業の変革に重要であることを本書は十分に感じさせる。
出版にたずさわることから社会に出て、映像も含めた電子メディア、ネットメディア、そして人が集まる店舗もそのひとつとして、さまざまなメディアに関わって来ました。しかしメディアというものは良いものも悪いものも伝達していきます。 そして「食」は最終系で人の原点のメディアだと思います。人と人の間に歴史を伝え、国境や民族を超えた部分を違いも含めて理解することができるのが「食」というメディアです。それは伝達手段であり、情報そのものです。誰かだけの利益のためにあってはいけない、誰もが正しく受け取り理解できなければならないものです。この壮大で終わることのない「食」という情報を実体験を通してどうやって伝えて行くか。新しい視点を持ったクリエーターたちを中心に丁寧にカタチにして行きたいと思います。