2021.05.24

ザコと侮る事勿れ〜ジャコポッカ〜 オカンの韓国家庭料理 VOL.9

幼少の頃から食べ慣れているオカズの1つに、私たちの家族が『ジャコポッカ』と呼んでいる小魚の炒め物がある。正式名称を“ミョルチポッカ”または“ミョルチポックム”と言う。『ミョルチ』=じゃこを指す。つまり、雑魚炒めの事である。

新鮮なしらすやいりこ・他の小魚など何でも良い。ご自身の好きな雑魚を使って、醤油や砂糖・みりんで佃煮風に炒め煮る、とてもシンプルな料理だ。

本場韓国でも伝統的で、最も有名な『パンチャン』=オカズの1つであるジャコポッカ。

実は、韓国では花嫁修行の料理の一種にも数えられる。
各家庭にその味付けがある為、嫁いでからも義理のオモニからも代々教わるレシピなのだ。

作り方

ジャコはフライパンで乾煎りする。そうする事で、ジャコの臭みも取れて出来上がった際にパリパリとした歯応えが楽しめる。

醤油・砂糖・みりんを適量加え、お好みで水あめも加えるとより照りが出る。

最大のポイントは、火力を絶対に強めない事。辛抱強く、中弱火で炒めていき、砂糖やみりんを投入してからは焦げない様に絶対に目が離せない。

我が家では、これに青唐辛子をネギのみじん切りの如く加えて辛さを増す。

ミックスナッツなどを加えても、歯応えにアクセントが生まれ洋食にも合うオカズになる。

仕上げにごまや粉唐辛子をパラパラとふりかければ完成だ。

日持ちも良く、また常備菜やお弁当のオカズとしても重宝してくれるこのジャコポッカ。

言わずもがな、カルシウムや良質なタンパク質・ビタミンDが大変に豊富で、特に女性にも嬉しい料理だ。

小物でも、雑魚(ザコ)と侮る事勿れ。心して食べるべし。

韓流ドラマでも、田舎のオモニが都会に出た子ども達に持たせるオカズの定番として、良く登場している。

WRITER Taishi Joh

沖縄にルーツを持つ父親と、韓国人の母との間に産まれ、幼い頃から日本食とは一風変わった食卓で育ちました。
転勤族の父親に付いて、全国津々浦々に移り住み、グルメな母親の影響で週に一度は外食をしていました。
それでもやはり、一番好きな食事は母親の手作りです。母も小まめに料理を作り、夕飯の家族一緒の団欒はかけがえのない想い出です。
今でも月に一度の頻度で、田舎の特産品や母親手作りの常備菜が届きます。
そんな私が、もう永住するしかないと決めた大好きな街、金沢。
其処から全国、ひいては全世界に向けて食のあり方を発信することが出来る私たちの会社を誇りに思い、末端ながらお仕事出来る喜び…と、美味しい賄いを噛み締めている毎日です。