2020.08.26

原田ひ香 口福のレシピ【私の食のオススメ本】

  • 書名:口福(こうふく)のレシピ
  • 著者:原田ひ香
  • 出版元:小学館
  • 発行年:2020年

読み始めで、故向田邦子のテレビドラマを観ているような感覚になった。

著者はラジオ脚本でデビュー。「ランチ酒」など食べることを主軸にして人間を描くことが多い。

向田さんの脚本や小説も料理や食事シーンが大事な要素となっていて、同じ匂いがしてくる。

本作は「レシピ」が軸になって、フリーのSEでありながらSNSの料理投稿からレシピづくりが副業になってしまった主人公が住む現代と、自身の家系に繋がる過去という二つの時代の話が並行して進んでいく。

そして物語のキーワードが「ポークジンジャー」、豚肉の生姜焼きである。

レシピの伝えるものがいかに重要かということを再確認させられる話になっている。

WRITER Joji Itaya

出版にたずさわることから社会に出て、映像も含めた電子メディア、ネットメディア、そして人が集まる店舗もそのひとつとして、さまざまなメディアに関わって来ました。しかしメディアというものは良いものも悪いものも伝達していきます。 そして「食」は最終系で人の原点のメディアだと思います。人と人の間に歴史を伝え、国境や民族を超えた部分を違いも含めて理解することができるのが「食」というメディアです。それは伝達手段であり、情報そのものです。誰かだけの利益のためにあってはいけない、誰もが正しく受け取り理解できなければならないものです。この壮大で終わることのない「食」という情報を実体験を通してどうやって伝えて行くか。新しい視点を持ったクリエーターたちを中心に丁寧にカタチにして行きたいと思います。