2019.05.11

近い将来、日本のレストランはポルトガルワインであふれている?

ポルトガルワインのボトル

○○ワインと聞いて皆さんはいくつの国を挙げられますか?

フランス、イタリア、スペイン、アメリカ、チリ、オーストラリア、日本…。

いくつ挙がりましたか?

世界的には約50の○○ワインがあります。

このRiffでもいつか全てご紹介したいと思います。

10挙げられればかなりワインをご存知なのではないでしょうか。

そんな中にポルトガルワインって入りましたか?

はっ?ポルトガル?ワイン作ってんの?、な方やあの甘口ワイン、ポートワインで有名なポルトガル、もちろん入れたよ、な方まで。いろんな方がこのRiffをご覧になっているかと思います。

ポルトガルって実は食の側面で見ると日本と結構なじみがあるってご存知ですか?

今回はワインというフィルターを通してポルトガルを少しご紹介したいと思います。

ポルトガルワインは日本史でみると一番最初に伝わったワインといわれています。

1543年、種子島に鉄砲が伝来した。日本史で勉強しました。

以後予算さく鉄砲伝来なんて語呂合わせで覚えた方もいらっしゃるんじゃないでしょうか。

それがきっかけとなり南蛮貿易が開始され、その中でも織田信長があるものをとても気に入ったといわれています。それが赤ワイン。

その当時は「珍陀酒」(ちんたしゅ)と呼ばれていたそうです。ポルトガル語で赤ワインのことを「Vinho Tinto」(ヴィーニョ ティント)。ティントの部分があて字になって珍陀になった。これがワインが日本に伝わった瞬間と想像ができます。

そんな歴史があるにも関わらず、ポルトガルワインって日本ではマイナーな存在として扱われている。そもそもポルトガル料理自体がヨーロッパのフランス料理やイタリア料理に比べて、マイナーそんな気すらします。

皆さん、天ぷらは好きですか?

諸説ありますが、天ぷらはポルトガルから伝わったってご存知ですか?

ポルトガル語の宗教用語にQuatro Temporasって期間があったらしいんです。日本語では四旬節と書いて、この時期には肉類を避け、魚、野菜を油で揚げたものを食する期間だったようです。

テンポーラ ⇒ テンプラ。これが天ぷらのルーツなんじゃないかと。

そのほかにもカステラ、パン、金平糖なんかもポルトガルがルーツといわれています。

Escabeche(エスカベーシュ)、南蛮漬けなんてそのまんま南蛮ってワードが入ってますね。

ポルトガルは水産業で鰯や鱈なんかが有名で国民一人当たりの魚介消費量は日本に次いで第6位。コメの一人当たりの消費量はヨーロッパ最多とあります。数字の面から見ても食文化が日本と似ていると言えるんじゃないでしょうか。溶け込みすぎてもはやそれがポルトガルのものだったというルーツも知らず、聞かれたときに答えられず5歳の女の子にめっちゃ怒られる状況じゃないでしょうか。

私もぼーっとソムリエやってたらいろんな方から怒られそうです。

ソムリエが食事に合わせた飲み物を提案するとき、郷土料理にその土地で作られたワインやお酒を勧めることが良くあります。その考え方を応用すると、天ぷらにはビールや日本酒、シャンパーニュなどではなく、ポルトガルで有名なスパークリングワイン、タヴォラ・ヴァローザを。鰯の炭火焼や牡蠣にはヴィーニョ・ヴェルデやセトゥーバルのスティルワインを。なんてことになりそうです。

ポルトガルワインのいいところは価格がお値打ちなところです。悲しいことに流通量が少なく購入できる場所も限定されてますが、フランス、イタリア、スペインのものに比べるとかなりお値打ちと言えます。ご家庭でも間違いなくお楽しみいただけます。

天ぷら屋からはじまり、料亭、和食レストラン、すし屋などからポルトガルワインブームが起こり、日本でソムリエやるならポルトガルワイン知らないとね。なんて風潮がフレンチやイタリアンでソムリエやってる人を悩ませ、そんなレストランでもついにポルトガルワインが出されるようになる。

世界を席巻していたポルトガルがワインで改めて世界を魅了していく日も近いかもしれません。

text:Misho Takakuwa
(本稿はOPENSAUCE元メンバー在籍中の投稿記事です)