- 書名:食べ物連載 くいいじ
- 著者:安野モヨコ
- 発行所株式会社 文藝春秋
- 発行年:2013年
漫画家の安野モヨコさんの食べ物エッセイ。食べることが大好きで、口癖は「お腹減った」だという安野さん。共感しかないと思い手にした一冊。漫画家として有名な安野さんだが、エッセイも抜群に面白く、自身が手掛ける挿絵も素敵。
子どもが生まれてから特にエッセイ本を読む事が多くなった。集中しすぎて時間を忘れてしまう小説などより雑誌の連載を集めたようなものが時間を区切って読みやすく、ついついそういったものに手がでる。さらに、私も根っからの食いしん坊なのか、いろんなエッセイがある中で作家さんが書く食のエッセイばかり選んでしまう。池波正太郎、向田邦子、立原正秋など、作家には美食家が多いのか読み応えのある食のエッセイは多い。
ただ、この安野さんのエッセイはいわゆる「美食家」のエッセイとは一線を画す。ご本人の言葉を借りると「食欲は旺盛だが、ごくごく普通の食べ物に対する意識しか持ち合わせていない」そうだが、「でも、案外その程度の人間が食べ物について書いたものは少ないのかもしれない」と感じ食の連載をスタートしたのだそう。
たしかに内容も、断食後に無性にハンバーガーが食べたくなっている話や、空豆やザクロの食べられない部分が多いことをチャームポイントだと言い「食べられる部分が本当に少ないのよ‼あんたって子は!」と思いながら宝石を食べている様な気持ちになるといった感覚に、わかるわかる!と思いながら次へ次へと読んでしまう。
なんだか定期的に読みたくなるおすすめの本。
text:Ryouko Takakuwa
(本稿はOPENSAUCE元メンバー在籍中の投稿記事です)