2020.05.07

ある島のある村での食事

バヌアツの港

2019年5月某日、わたし達はカカオを求めて船に乗った。 首都のある、メインの島から揺られること約16時間。

バヌアツ共和国最大の島、Malekula島にやってきた。

船着場から2時間かけバイクで駆け抜けて着いた先は、共に働いていた同僚のカカオ農園の ある小さな村。

電気も水道も通っていないこの村。誰もが顔見知りである。 そんな村での食事の話。

カカオ農園で一日中収穫に追われ、クタクタの体で海に飛び込む。 1日の終わりの穏やかな海は、全てを洗い流してくれる。

卵を探しに行こう。そう言われ、手を取って村の一本道を足早に進む。村の端から養鶏場ま で徒歩10分。

お金を渡すと、12個の卵をおばあちゃんはゆっくりと取りに行く。 手渡されたうみたての卵、まだほんのり温かい。

6個ずつ、大事に抱えて持ち帰る。

真っ暗な中、火を起こして作ったオムレツは、じんわりと優しく、生命そのものの味がする。

バヌアツの食卓

お水はどこから?朝晩、必要な分を井戸へ汲みに行く。

農園内ではフレッシュなココナツも重要な水分源だ。割れば果肉も美味しく食べられる。

果物は自生しているグレープフルーツやバナナ。これほどまでにしっかりとした風味、味のあるフルーツを以前に食べたことがない。魚介を食べたければ、目の前に海がある。

家族が食べていける分の野菜やお芋は、お庭からとれる。

生きるために食べる。食べるために自分で食材を探し、調理する。本来の姿。

「Sena、僕たちには何もないようで全てがここにあるんだ。」

キラキラひかるいくつもの目は、暖かい日差しを受けて光輝くバヌアツの海によく似ている。

バヌアツの海面

text:Sena Kneko
(本稿はOPENSAUCE元メンバー在籍中の投稿記事です)