2018.11.22

バルセロナのパン・コン・トマテ

2019年10月開業予定 レストランスタッフ大募集!

2017年の7月に、スペインのバルセロナとサン・セバスティアンまで出張に行った。

その出張のコンセプトが「食べ歩く」という趣旨だったので、高級店から大衆店まで色んなタイプのお店を食べ歩いた。
何軒かのバルで共通して「美味いな、これ」と感じたシンプルな料理に、写真右上に写っているブルスケッタのようなものがあった。

分かり難いので写真を拡大すると

これである。

後で調べて分かったことだが、スペインではとてもポピュラーな料理で「パン・コン・トマテ」というらしい。
日本でいうところの「味噌汁」みたいな存在だと思ってもらえれば良い。

帰ったら家族に食べさせたかったので、店員さんに作り方を聞いてみたところ、ざっくりと「トマトをパンに擦り込むんだよ」と言っていた。

「そんなけなわけ無いよね」と思いながら、それ以上詳しく聞く語学力を持ち合わせていないので、いつものように味を記憶して帰ることにした。

スペインから帰国して、しばらく経ったある日、友人から「美味しい伝統野菜を送りますねー」との連絡があり、数日後に届いた荷物の箱をあけてみたところ、なんと、

「なんだこれ? 生ハムじゃんかよ」

野菜ではなくあきらかな肉。
伝統野菜を使って美味しい野菜料理を作るつもりでイメトレをしていた私は拍子抜けすると同時に、次なる作戦を考え始めていた。

生ハムと言えば、スペインは毎日が生ハム祭状態だったな…。
スペインと言えば…。
あ、そうだ、アレ作るの忘れていた。

そうして冒頭の「パン・コン・トマテ」に繋がるのである。

写真を見ながら味の記憶を辿り、必要な食材を求め、近所のスーパーに買い物に行く事にした。

どんな味?

見た目の通り、トマト味はもちろんなのだが、ほど良い酸味とガーリック、そして何よりも特徴的なのは「ビッタビタ状態」であるという事。
容赦なくビッタビタなのである。
どれぐらいビッタビタなのかといえば「手で持ってたべるのは厄介な」ぐらいビッタビタなのだ。
スペインでは行く先々のお店でパン・コン・トマテを食べたが、その中でも私が一番美味しいと感じたのが、このビッタビタのタイプである。
冒頭に書いたように、味噌汁のようなものなので、些細な違いで色んなタイプが存在するのだ。

作ってみる

先ずはこのビッタビタのトマトを再現するところから始まる。
想像から購入した食材は以下

*調味料*

1. BOSCOオリーブ&ガーリックオイ
2. MAILLE白ワインビネガー
3. 能登わじまの海

これをオイル3:ワインビネガー2の割合に塩小さじ1を加えよく混ぜておく。

*食材*

1. 石川県のトマト2個
2. DONQのバタール一本(たまたま一番近いパン屋さんがここ)
DONQでは購入したパンを1cm刻みでカットしてくれるサービスがあるので便利だ。

トマトは種を取るのか、そのままなのか?
種に酸味があるので迷ってどちらが良いのか試行錯誤してみたが、ワインビネガーで酸味を足すのでどっちでも良い気がするので、そのまま行く。

そんなことよりも、そもそも本当にトマトをそのまますり込んで良い感じになるのだろうか?

やってみたものの、そのまますり込んでもトマト風味が乗り移るだけでなんか違う。というかイメージとぜんぜん違う。

そこで、トマトをすりおろしてみることにした。

トマトをすりおろすのは初めての試みだったが、ミキサーよりもトマト感を残したまま良い感じになってきた。

ここに調味料を加えて行くことにした。
すりおろしトマトに調味料を加えたものを味見すると、口の中にあの時のスペインの記憶が蘇ってきた。

写真は左から、

1. パンに直接トマトをすりこんだもの
2. 頑張ってなすりつけたもの
3. すりおろしトマト
結果として3が正解に近い。

この実験レシピに関わった6人の中で元の味を知っているのは私だけなのだが、私はかなり近いのではないか?と感じた。
そしてその場に居た他の5人が食べて「美味いすね!」と、予想以上に高評価だった。もしかしたら私が社長だから気を遣ったのかもしれない。

こうしたことから、このレシピは更なる研究の余地はあるものの、公開しても問題無い暫定レシピなのではないか。

本来の作り方は、ニンニクとトマトをパンに擦り込んで塩をふり、オリーブオイルをかけ回すというものだったが、いくらやってもいい感じにならないので、見た目と味で一番近いのが、この調理法だった。

で、生ハムどこ行ったんだ?という話なのだが、これはこれで大変美味で、このパン・コン・トマテに乗せて美味しく頂いた。

翌日、家で家族と一緒に暫定レシピの手順通りに作ってみた。
それがこの写真である。

パンの切り方がスペインとは違うものの、雰囲気的にはかなり近いものとなった。ただし、やはりフランスパンではあのスペインの感じにはならない。

お皿はバルセロナのレストランで無理言って譲ってもらい、持ち帰ったものである。その演出も相まって、気分的にはスペインそのものだ。

ついでにカラマリを作ろうと思ったのだが、台風でシケのせいなのか、この日はどこにもイカが売っておらず、タコで代用することにした。

そもそもタコを揚げたらカラマリなのか?
そもそもカラマリは何料理で何語なのか?

気になりだしたた止まらないので調べたところ、ギリシャ語でイカのことをカラマリというらしい。じゃあもうこれは全然カラマリじゃなくて、別物である。ちなみにギリシャ語でタコは「クタポディ」だそうだ。

で、結果として家族にも好評なのであった。
一番奥に写っているのは揚げ物ついでに作った普通の鳥モモ肉の唐揚げ。

『耕作』『料理』『食す』という素朴でありながら洗練された大切な文化は、クリエイティブで多様性があり、未来へ紡ぐリレーのようなものだ。 風土に根付いた食文化から創造的な美食まで、そこには様々なストーリーがある。北大路魯山人は著書の味覚馬鹿で「これほど深い、これほどに知らねばならない味覚の世界のあることを銘記せよ」と説いた。『食の知』は、誰もが自由に手にして行動することが出来るべきだと私達は信じている。OPENSAUCEは、命の中心にある「食」を探求し、次世代へ正しく伝承することで、より豊かな未来を創造して行きたい。