ウイスキー

原材料の違いでお酒をチョイス

バーボンの原材料の違いみなさんバーボンはお好きですか？バーボンと言えば西部劇のイメージなど、強く男らしい無骨なイメージでしたが、…

Akihiro Takeshita 2019.06.11

ウイスキー

穀物を原料として、糖化、発酵させ、さらに蒸留して樽で熟成させたもの。 蒸留には単式蒸留器と連続式蒸留機が使用され、蒸留方法の違いでウイスキーの香味は異なる。蒸留しただけでは無色透明の荒々しいスピリッツが、樽熟成の期間、熟成時の環境（気候や樽材など）の影響を受け、琥珀色を帯び、香味豊かなウイスキーとなる。

スコッチ・ウイスキー (Scotch Whisky)

　スコットランドで蒸留、熟成、ボトリングされたウイスキーの総称。
製造法の違いから、モルト・ウイスキー、グレーン・ウイスキー、ブレンデッド・ウイスキーの３つに分けられる。  

モルト・ウイスキー (Malt Whisky)

 　二条大麦の春蒔き品種（３月〜４月上旬に種蒔きをして８月〜９月に収穫）の大麦麦芽（モルト）だけを原料に、発酵後、単式蒸留器で２回蒸留し、オーク樽で最低でも3年以上熟成させたもの。
　モルトに焚き込んだピート（泥炭）のスモーキーフレーバーが特徴で、焚き込むピートの加減、使用する水の質、酵母の違い、蒸留器の形状、樽熟成の方法や環境の違い、熟成年数などによって、個性の異なる様々なモルト・ウイスキーが作られる。

ハイランド・モルト (Higland Malt)

 北部ハイランド地域のモルト・ウイスキー。蒸溜所が集中しているスペイ川周辺のモルトをハイランドから分離してスペイ・サイド・モルトと呼ぶことがある。 ハイランド地方は面積が大きいため更に４つに細分化されることも多く 北ハイランド・南ハイランド・東ハイランド・西ハイランドに分かれる。
中でも北ハイランドには有名な蒸留所が多く、グレンモーレンジィやダルモア、クライヌリッシュなどがこの地域にある。

ローランド・モルト (Lowland Malt)

南部ローランド地域のモルト・ウイスキー。地域としては大きく昔は数十の蒸留所が存在し、ハイランドとしのぎを削りあっていたと言われているが、徐々に衰退し現在稼働している蒸留場は６つのみ。 スコッチでは珍しく３回蒸留（通常は２回蒸留）を取り入れているところもありライトで穀物のフレーバーの強いものが多い。

キャンベルタウン・モルト (Campbeltown Malt)

西部のキンタイア半島先端のキャンベルタウンで作られているモルト・ウイスキー。キャンベルタウンは人口5000人程の小さな街ながら、かつては30以上の蒸留所がありウイスキーの主要産地だった。 アメリカ大陸へ向かう船の寄港地として栄えたが、アメリカの禁酒法の影響もあり徐々に衰退し現在は３つの蒸留所しか残っていない。味わいは地理的にもハイランドとアイラの中間といった特徴。  

アイラ・モルト (Islay Malt)

 西部のアイラ島で作られるモルト・ウイスキー。アイラ島はスコッチを作る上で欠かせないピートと呼ばれる泥炭がよく採れ、スモーキー、潮っぽいと例えられ、他に類を見ない個性的な味わいで好き嫌いが分かれる。蒸留場の多くが海辺にあり独特の潮っぽさに影響している。ブレンデッド・ウイスキーを作る上では欠かせない原酒となっており“有名なブレンデッド・ウイスキーでアイラ・モルトが入っていないウイスキーはない”と言われるほど。  

アイランズ・モルト (Islands Malt)

アイラ島を除くスコットランドの島々で作られるモルト・ウイスキーの総称（オークニー諸島、スカイ島、マル島、ジェラ島、アラン島に所在する蒸留所） 以前はハイランドの中に分類されていたが近年は独立してアイランズ・モルトと呼ばれるようになった。各蒸留場の個性が異なり共通した特徴は見出しにくく、アイランズ・モルトと大きなくくりで見ずに、各蒸留所・銘柄ごとに見る方が良い。

グレーン・ウイスキー (Grain Whisky)

トウモロコシ、小麦などの穀物を原料にし、大麦麦芽を加え糖化、発酵させ、連続式蒸留機で蒸留し、樽で熟成する。ピート香をつけず柔らかくライトな仕上がりで“サイレント・スピリッツ”と呼ばれ、ほとんどはブレンド用に使われている。  

ブレンデッド・ウイスキー (Blended Whisky) 

多種のモルト・ウイスキーと数種のグレーン・ウイスキーをブレンドし、奥深い風味と飲みやすさを持ったウイスキー。ブレンダーの高いブレンド技術（モルトとグレーンの比率など）で様々な個性を持ったブレンデッド・ウイスキーが生み出される。 

アイリッシュ・ウイスキー (Irishi Whisky)

アイルランド産のウイスキー。伝統的な製法は、ピートを焚き込まない（石炭、木材を使用）大麦麦芽、大麦、ライ麦、小麦などを原料に、糖化・発酵させ、単式蒸留器で３回蒸留し、樽で3年以上熟成させる。 アイリッシュ・ウイスキーは大きく４つの種類に分けられる。 モルトにした大麦と未発酵の大麦などを組み合わせ単式蒸留器で３回蒸留したピュアポットスティル・ウイスキー（シングルポットスティル・ウイスキー）。100%モルトにした大麦を原料に単式蒸留器で２回もしくは３回蒸留したモルト・ウイスキー（シングルモルト・アイリッシュウイスキー）。トウモロコシなど穀物をコラムスティル（連続式蒸留機）で蒸留したグレーン・ウイスキー。複数のモルト原酒とモルトにしない穀物のグレーン原酒をブレンドした

ブレンデッド・ウイスキー。

ピュアポットスティルはアイリッシュ・ウイスキーだけにみられる製法で、原料の100%を大麦としながらも、モルトにしたものとモルトにしないものを合わせることにより、ピリッとした独特な味わいを生みだす。

アメリカン・ウイスキー (American Whiskey)

アメリカのウイスキーは原料の内、全体の51%以上を占める原料によって、 バーボン（トウモロコシ）、ライ（ライ麦）、ホイート（小麦）、モルト（大麦）、ライ・モルト（ライ麦麦芽）、コーン（トウモロコシ（（コーン80%以上使用））の６種類に分けられる。更に、製造法によって、ストレート、ブレンデッド・ストレート、ブレンデッドの3タイプに分けられる。 

ストレート・ウイスキー (Straight Whiskey)

アルコール度数80度以下で蒸留し、内部を焦がしたホワイト・オークの新樽で最低2年熟成させる。  

ストレート・バーボン・ウイスキー (Straight Bourbon Whiskey)

アメリカ合衆国ケンタッキー州で生産されているウイスキー。原料の51%以上をトウモロコシで主原料とし、他にライ麦、大麦、小麦などを原料とする。これらを麦芽で糖化し酵母を加えアルコール発酵させ、連続式蒸留機でアルコール度数80%以下で蒸留。その後加水し、内側を焦がした（炭化皮膜処理）ホワイト・オークの新樽に詰め熟成させる。熟成期間が4年未満の場合はラベルに熟成期間の表示。製品として瓶詰めする際にはアルコール度数が40%以上であることが義務付けられている。 　テネシー州で作られる、サトウカエデの炭で濾過して作られるテネシー・ウイスキー (Tennessee Whiskey)もストレート・バーボンに分類されている。 

ブレンデッド・ストレート・ウイスキー (Blended Straight Whiskey)

ストレート・ウイスキー同士をブレンドしたもの

ブレンデッド・ウイスキー (Blended Whisky) 

ストレート・ウイスキーをアルコール度数50%に換算して20%以上使用して、残りを他のウイスキーやスピリッツでブレンドしたもの。スコッチのブレンデッド・ウイスキーと分けるため、アメリカン・ブレンデッド・ウイスキーとも呼ばれる。

カナディアン・ウイスキー (Canadian Whisky) 

カナダ国内でトウモロコシなど穀物のみを原料とし、糖化、発酵させ、蒸留し、180ℓ以下の樽で3年以上熟成させたウイスキー。 主原料をトウモロコシとし、連続式蒸留機で蒸留し、バーボン樽で3年以上熟成させたベース・ウイスキー (Base Whisky)と、主原料をライ麦とし連続式または単式蒸留器で蒸留、内側を焦がした新樽や中古の樽で3年以上熟成させたフレーバリング・ウイスキー (Fravering Whisky)をブレンドする。一般的なブレンド比率は、ベース・ウイスキーが88 – 96%程度。中にはフレーバリング・ウイスキーの比率がさらに高い比率の銘柄も存在する。

ジャパニーズ・ウイスキー (Japanese Whisky) 

基本的な製造方法は、スコッチと同じく大麦麦芽（モルト）を原料にし、単式蒸留器で２回蒸留し、樽で長期熟成したモルト・ウイスキーと、トウモロコシを主にした穀物を原料とし、連続式蒸留機で蒸留し、樽熟成したグレーン・ウイスキーを作り、これらをブレンドしてブレンデッド・ウイスキーとする。
製法はスコッチの流れを組んでいるが、日本特有の自然条件の中で、ピートのスモーキー・フレーバーを抑えた独自のマイルドな香味を特徴とする。