2025.05.25

甍酒蔵『甍 銀・黒』IWC2025ゴールドメダルを受賞

2025年5月20日に甍酒蔵株式会社が醸造する『甍 銀・黒(いらか ぎん・くろ)』が、イギリス・ロンドンで開催された国際的な酒類コンテスト「インターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)2025」のSAKE部門において、ゴールドメダル受賞の発表がありました。

甍酒蔵は、OPENSAUCEグループの一員として様々な事業の運営に力を注いできた佐藤圭祐氏が代表取締役となり、『大信州』杜氏だった田中勝己氏と「国内外に日本酒の価値を広めたい」とタッグを組んでできた酒蔵です。創業1665年の酒蔵を事業継承し、理想的な酒米と酒造りに適した水が湧く場所を求め、長野県松川村に移転し、2024年、新醸造所を立ち上げました。

「IWC」は毎年ロンドンで行われる世界最大級のワインコンテストで、“世界でもっとも大きな影響力をもつワインコンテスト”とも言われています。2007年にそのIWCに「SAKE部門」が誕生。それ以来、SAKE部門の受賞酒は国内外で注目されてきました。IWCは日本酒の海外進出における重要なコンテストとも言えます。

2025年のSAKE部門は「普通酒」「純米酒」「純米吟醸酒」「純米大吟醸酒」「本醸造酒」「吟醸酒」「大吟醸酒」「スパークリング」「古酒」「熟成」の10カテゴリーがあります。18の国と地域から総勢70名の審査員で、その各部門でブラインドテイスティングによって審査が行われ、「ゴールドメダル」「シルバーメダル」「ブロンズメダル」「大会推奨酒」の4つの賞が与えられます。今年は1,476銘柄の日本酒がエントリー。その10%にあたる153点がゴールドメダルを受賞しました。

中でも『甍 銀・黒』は昨年2024年11月に新醸造所での第一号となる新酒が出荷されたばかりで、国際的な賞の<純米吟醸酒部門>ゴールドメダルを獲得するという快挙を成し遂げました。当然ながら『甍』はすべてが初めての、水・酒米・風土・チーム・醸造所で醸した最初のお酒です。これには日本酒業界でも大きな驚きだったと思います。

この日本で一番新しい日本酒醸造所となった甍酒造の杜氏・田中勝己氏は以前のメディアの取材で「流行は追わない。現代の王道が目標」「米と水を素直に生かす味わいを追求する」と答えています。

また、佐藤圭祐代表は別のインタビューで「日本酒は飲んだ時の感動に対して安すぎる、と感じていました。お酒の分野の中で個性的な味わいを持ち、しかも長い歴史に育まれ、地域の風土や気候を反映させた独自の世界観がある日本酒にはすごい価値があります。だから魅力を正しくアピールすれば、国内や海外でもっともっと売れるはず。」と話しています。

二人が掲げたテーマは「日本酒の新たな価値を創造する」「原点回帰の酒造」。

甍酒造と『甍』はスタートしたばかりですが、今回の受賞が目標に向かっての大きな一歩になったことは間違いないでしょう。

『甍 銀・黒』評価まとめ

『銀・黒』は甍 銀シリーズ中でも最もバランスを重視した一本です。

「原点回帰」の酒造をテーマに松川村の世界最高峰の水と酒米と風土を最大限活かして醸したお酒。乳酸などの添加物を加えず、日本酒が本来持つ複雑な旨みや甘味、酸味を表現。
原料米:長野県松川村 特別栽培米「ひとごごち」
アルコール分:15%
内容量:720ml 価格:¥2,860(税込)

IWC2025の評価コメント(甍酒造による意訳)は以下の通り。
「洋梨やバブルガムを思わせる軽やかな香りがふわりと広がり、栗のようなニュアンスが心をくすぐります。果実味、酸味、ボディが繊細に調和したエレガントな味わいで、爽やかで瑞々しい余韻が心地よく響きます。」
※IWC公式サイト評価はこちら

また『甍 銀・黒』は、受賞前に<新進の注目蔵>という雑誌の特集で酒の鮮度の良さが高評価を得、「育ちの良さを感じる心地よいフレッシュさ」「口開けのガス感が好き!」「完成された若めの酒質。シャープで締まりもいい」と評価されていました。

information
甍酒造株式会社 長野県東筑摩郡筑北村坂北 1720
instagram : https://www.instagram.com/ilaka_japanese.sake.atelier/
URL : https://ilaka.co.jp/
問合せ staff@ilaka.co.jp


甍『銀』クラスについて


『甍』の銀クラスには、2024年11月に全国流通の最初のお酒であり、杜氏田中氏考える王道の酒で、誕生酒と名づけられ今回受賞した『 銀・黒』の他に、田中氏が20年前に開発した特別な酵母を復活させて作った黒よりドライな香りを纏った『 銀・藍』、銀クラスの中でも華やかな香りとキレのある味わいに仕上げ2025年1月にリリースした『 銀・紅』、そして美しく雄大な自然をも守り続けてきた松川村の人々に感謝の意を表して造られた「松川村限定酒」である『 銀・白』があります。2025年の3月で初回のリリースを終了しています。(※現在次回リリース商品の内容についての詳細情報はありません。9月から11月ごろの出荷となると思われます)。

そして今回、RIFF編集部では何度かグループ外の方々に試飲をしていただく機会を得ましたので、以下に感想や評価を記載しておきます。当記事を読まれた皆様の参考にしていただき、次回出荷時にはぜひ2025年の新しい『甍』をお試しいただくことをお勧めします。

酒ディプロマ(60代)の感想。
『銀・紅 』
「華やかな香り、柑橘系ハッサク、白桃? 味わいは、口に含むと柔らかい米粉の甘味と丸みの後に、優しい酸が追いかけてきてスッキリ口中を駆け抜け、余韻に軽い苦味でフィニッシュ。(60代数人で試飲したところ)総じてやわらかい印象 女性に人気 。『かぐらの里青柚子胡椒』や知人から頂いた青森産『コムラのこうじなんばんみそ』に合わせました。 白身魚のソテーに塩漬け生胡椒、キスの天ぷらに塩、レモンも合いそう! 抜栓2日後 香りが穏やかになり、”このお酒、綺麗な水で作ったんだろうな!”」
『銀・藍 』
「香り抑えめ、青竹 。味わいは、口に含むと柔らかい米粉の甘味から直後に辛めの酸味が口中に広がり、余韻は苦味でスッキリフィニッシュ。硬さを感じない力で強い辛口。 銀杏、大根の漬物で 抜栓翌日 湯豆腐、ブリシャブで」

唎酒師(30歳)による感想
『銀・藍』
「ふわっとしたバナナの芳醇な香りの後からライチのようなフレッシュな香り。飲み口は軽く一気に華やかさが鼻に抜けると、後から木を感じ余韻が心地よい。
華やかなのに後からキリッと締まるドライさも特徴的で、フレッシュチーズに蜂蜜と少量の黒胡椒と合わせて頂くと、チーズの爽やかな甘みと蜂蜜の蜜のテクスチャーが酒の印象とアフターを持ち上げてくれそう」

愛知の酒販店による感想(サイトより編集引用)
『 銀・黒』
「うすにごりに仕上げられた「銀・黒」の第二ロットはさらに爽やかと瑞々しさが向上した素晴らしい出来です。こだわりである農薬や肥料を減らした特別栽培米の美味しさがレモンのような酸味で包まれ、その旨さが引き立ってきます」『銀・紅
「杜氏がこだわり続ける手造り麹技法で仕上げた、しっかりとした酸味が特徴的です。さらにこの酒蔵のこだわりである農薬や肥料を減らした特別栽培米の美味しさがレモンのような酸味で包まれ、その旨さが引き立ってきます。加えて、北アルプスの山々から直接流れ込む軟水が、柔らかな余韻とともにその味わいを長時間引き立てます。柔らかさ、膨らみ、爽やかさ、美しい果実感を備え、完成度の高い最高の仕上がりとなっております」

text: Joji Itaya