2025.07.28

石川雅之 漫画「もやしもん」【私の食のオススメ本】

  • 書名:もやしもん 1〜13巻
  • 著者:石川雅之
  • 発行所:モーニングKC
  • 発行年:2017年

『もやしもん』は、子供の頃から肉眼で菌の姿を捉えることができる特殊能力を持つ種麹屋の次男坊、沢木直保が主人公で、祖父の友人である樹慶蔵が教授を務める東京の「某農業大学(某は名前)」で仲間たちと共に、発酵食品作りなどを通して微生物の不思議や発酵の奥深さを学んでいくコメディ漫画。

院生の長谷川遥とゼミ生の武藤葵、密造酒の製造に失敗して多額の借金を背負うことになった2年の美里薫と川浜拓馬、偶然ゼミに参加することになった1年の及川葉月が加わった面々が、菌とウイルスにまつわる様々な騒動に巻き込まれてゆく。

株式会社MANTAN(旧 毎日デジタル)の元総編集長、細田 尚子氏は本書について「菌は、デフォルメされたキャラクターとして描かれ、菌たちが発する「かもす(醸す=発酵、腐敗させるの意)」はこの作品の象徴的なフレーズとして印象に残る。目に見えない菌やウイルスの世界を目に見えるキャラクターとして表現するというマンガ表現の次元を一つ上げたともいえる作品で、注釈も含み菌やウイルスに関する知識が得られるだけでなく、農業大学という特異ともいえる学校の様子も知ることができる」と書いている。

著者、石川雅之は2008年、『もやしもん』で第12回手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞している。

微生物、発酵、発酵菌、菌について知ろうと思うなら本書を薦めるが、最終巻に近づくにつれて説明コマが多くなるのが少し気になる。全巻読み終わる頃には、本書のキャラクターのような菌が見えてくるような気がするので注意だ。

WRITER Joji Itaya

出版にたずさわることから社会に出て、映像も含めた電子メディア、ネットメディア、そして人が集まる店舗もそのひとつとして、さまざまなメディアに関わって来ました。しかしメディアというものは良いものも悪いものも伝達していきます。 そして「食」は最終系で人の原点のメディアだと思います。人と人の間に歴史を伝え、国境や民族を超えた部分を違いも含めて理解することができるのが「食」というメディアです。それは伝達手段であり、情報そのものです。誰かだけの利益のためにあってはいけない、誰もが正しく受け取り理解できなければならないものです。この壮大で終わることのない「食」という情報を実体験を通してどうやって伝えて行くか。新しい視点を持ったクリエーターたちを中心に丁寧にカタチにして行きたいと思います。