
韓国料理として、日本人にあまりにもよく知られている伝統料理、ポッサム(보쌈)。
ブロックの塊肉(豚バラ肉や肩ロース肉)をじっくりと蒸したり、茹でたりして仕上げるシンプルな料理だ。
焼いて食べるサムギョプサルとは違い、調理の過程で余分な脂を落としてくれる為、しっとりとしていながら重たくない味わいが特徴だ。
そもそも「ポッサム(보쌈)」とは、“包む”という意味。
出来上がった豚肉を、サンチュやエゴマの葉っぱ、白菜などのキムチ、ニンニク、コチュジャンやごま油などのお好みの薬味とともに包み、迷いなくひと口で頬張る。
この“包む”という行為には、とても韓国らしい大らかさを感じる。
手のひらの上で、肉と野菜と発酵がひとつになる瞬間。
理屈よりも先に、口と体が喜ぶ。
庶民的で、リーズナブルで、そして滋味深い。
ポッサムは、日常の祝祭だ。
オカン直伝、ヤクルト・ポッサム
さて今回ご紹介するのは、オカンから教わった少し意外なレシピ。
隠し味は、なんと「ヤクルト」。

乳酸菌飲料のほのかな甘みと酸味が、豚肉をやわらかくし、臭みをやさしく包み込む。
発酵文化を持つ国ならではの、理にかなった知恵だ。
材料(豚肉100gあたり)
- ヤクルト…1本
- 割り下…ヤクルトと同量
- 水…ヤクルトと同量
ヤクルト:割り下:水=1:1:1

作り方
- 豚肉ブロックを軽く湯引きする。
- 鍋にヤクルト・割り下・水を合わせ、豚肉を入れる。(あればネギや生姜など臭み取りに入れると良い。)
- 中弱火で約20分。途中、上下を返しながら灰汁を丁寧に取る。
- 火を止め、粗熱を取ってからスライスする。
たったこれだけ。シンプル イズ ベスト!
ヤクルトの甘みは主張し過ぎず、
肉の繊維をやわらかくほどき、後味にほんのり甘さという丸みを残す。
葉野菜に包み、キムチをのせ、お好みでニンニクのパンチを効かす。
そして一気に口へ運ぶ。最高に幸せな瞬間が到来する。
包まれた肉の向こうに、乳酸のやわらかな記憶が立ち上がる。
日本と韓国の発酵文化が、今日もまた国境を越えてそっと手をつなぐ。
箸とスカラのあいだで。スプーンは四杯目へ。

沖縄にルーツを持つ父親と、韓国人の母との間に産まれ、幼い頃から日本食とは一風変わった食卓で育ちました。
転勤族の父親に付いて、全国津々浦々に移り住み、グルメな母親の影響で週に一度は外食をしていました。
それでもやはり、一番好きな食事は母親の手作りです。母も小まめに料理を作り、夕飯の家族一緒の団欒はかけがえのない想い出です。
今でも月に一度の頻度で、田舎の特産品や母親手作りの常備菜が届きます。
そんな私が、もう永住するしかないと決めた大好きな街、金沢。
其処から全国、ひいては全世界に向けて食のあり方を発信することが出来る私たちの会社を誇りに思い、末端ながらお仕事出来る喜び…と、美味しい賄いを噛み締めている毎日です。