私は、だいたい数日に一食しか食べない。一ヶ月に一食のときもある。宗教上の理由でも、ストイックなポリシーでもなく、ただなんとなく食べたい時に食べるとこのサイクルになってしまう。だから私は食に対して真剣である。久々の一食を「適当」に食べてなるものか。久々の食事が卵かけ御飯だとしよう。先に白身と醤油とを御飯にしっかりまぜて、御飯をふかふかにしてから器によそって、上に黄身を落とす。このときに醤油がちょっと強いかなというぐらいの加減がちょうどいい。醤油の味わい、黄身のコク、御飯の甘さ。複雑にして鮮烈な味わいの粒子群は、腹を空かせた者の頭上に降りそそがれる神からの贈物である。自然と口から出るのは、「ありがたい」の一言。
新しいワインの造り手が次々と出てくるフランスだが、レコードやCDの存在していた時代の生き残りの私が思わず「ジャケ買い」してしまったワインがある。 ジャケ買いならぬ、「エチ買」である。 ちなみにワインのラベルのことを「エチケット」という。 なぜエチケットと呼ぶのか、私も能くは知らない。 しかし、エチケ……