2021.04.02

味覚馬鹿【私の食のオススメ本】

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  • 書名:味覚馬鹿
  • 著者:北大路魯山人
  • 発行所:青空文庫POD
  • 発行年:2015年 

青空文庫のデータをPDFで印刷した少数ページのペーパーバックであるが、料理家、美食家であり芸術家(篆刻家・画家・陶芸家・書道家・漆芸家)の北大路魯山人のことばを知るには都合が良い。

「(今の時代からみれば)なんと身勝手な言い方をする人だと思うのだがその器を見れば、さあここに料理を盛ってみせよと行っているようで楽しい」という人が現代の料理人に大勢いる。

明治16年生まれという育った時代もあるのだろうが現実を見て忖度なしの発言集は、一度は読んでおいていいと思う。

『料理を味わうにも、三等生活、二等生活、一等生活、特等生活と、運命的に与えられている生活がある。また、それに従って作るところの料理がさまざまである。』
『低級な食器に甘んじているものは、それだけの料理しかなし得ない。こんな料理で育てられた人間は、それだけの人間にしかなり得ない』

なぜ、こんなことを言う狷介・不遜・傲岸・虚栄などの悪評がつきまとった人の話をな読まなければならないか。

魯山人は家庭の料理について『それは素人の料理であるけれど、一家の和楽、団欒がそれにかかわっているのだとすれば、精一杯の、まごころの料理になるのである。味噌汁であろうと、漬けものであろうと、何もかもが美味い・・・』とも発言している。

その時代においては書かれている言葉すべて正論だったのだと思う。そう思いながら読んでみると自分がどの立場で食というものに接していくべきかが見えてくる。そんな発言集である。

漫画「美味しんぼ」の海原雄山のモデルは北大路魯山人といわれているが作品の中で雄山は「魯山人を超えること」を目標としている。

尋常小学校を出て丁稚奉公に入り、自分の力で芸術の道を極めていった北大路魯山人と美術大学をでた海原雄山とではそもそもが違うのだが、どちらも美の追求と食の追求が「家族」というものから対局にあっても離れることはないのだと思わせる内容であると言える。

WRITER Joji Itaya

出版にたずさわることから社会に出て、映像も含めた電子メディア、ネットメディア、そして人が集まる店舗もそのひとつとして、さまざまなメディアに関わって来ました。しかしメディアというものは良いものも悪いものも伝達していきます。 そして「食」は最終系で人の原点のメディアだと思います。人と人の間に歴史を伝え、国境や民族を超えた部分を違いも含めて理解することができるのが「食」というメディアです。それは伝達手段であり、情報そのものです。誰かだけの利益のためにあってはいけない、誰もが正しく受け取り理解できなければならないものです。この壮大で終わることのない「食」という情報を実体験を通してどうやって伝えて行くか。新しい視点を持ったクリエーターたちを中心に丁寧にカタチにして行きたいと思います。

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