2021.02.10

食にまつわる不都合な真実【私の食のオススメ本】

  • 書名:食にまつわる不都合な真実
  • 著者:金丸弘美
  • 発行所:ディスカバー・トゥエンティワン
  • 発行年:2018年

こういう煽り気味で俗っぽいキャッチーなタイトルの本は一歩引いて読むようにしている。しかし、中身はデータに基づいた食と農業についてコメントを書いたものなので「食と環境をわかりやすく見わたせるガイドがほしかった」という食環境ジャーナリストである筆者の言葉は理解できる。

ただし、各コメントは読者が検証しながら読んで欲しい。SNSではタイトルだけですぐに拡散させる人が多いが、日本や地球の役には立たない、と思う。書かれたのが2018年なのでTPPのことも加味してチェックして欲しい。

食と健康では・・20代女性の20.7%が痩せすぎ。小学生の4.5%に食物アレルギー。現代人が一回の食事で噛む回数は620回。小学生の10%近くが肥満。糖尿病予備軍は1000万人・・などなど。

日本人の食生活では・・米の消費量は1962年の半分以下。惣菜(中食)利用は10.5兆円で10年で123%。うなぎはこの60年で207tから15.5tに。有機農産物の生産農家は8000戸に対して0.3%・・など。

食料自給率では・・東京都の食料自給率は1%。大豆の自給率は7%、小麦は12%、塩も12%。豚牛鶏の餌の自給率は27%で国外頼み。瀬戸内海の藻場は7割激減・・などなど。

日本の農業では・・耕作放棄地は23.4万ha。新規農業従事者は5.5万人。65才以上の農業従事者は60.7%・・などなど。

それぞれの項目についてのコメントには参考になる部分が多い。考える入り口には良い本かもしれない。

WRITER Joji Itaya

出版にたずさわることから社会に出て、映像も含めた電子メディア、ネットメディア、そして人が集まる店舗もそのひとつとして、さまざまなメディアに関わって来ました。しかしメディアというものは良いものも悪いものも伝達していきます。 そして「食」は最終系で人の原点のメディアだと思います。人と人の間に歴史を伝え、国境や民族を超えた部分を違いも含めて理解することができるのが「食」というメディアです。それは伝達手段であり、情報そのものです。誰かだけの利益のためにあってはいけない、誰もが正しく受け取り理解できなければならないものです。この壮大で終わることのない「食」という情報を実体験を通してどうやって伝えて行くか。新しい視点を持ったクリエーターたちを中心に丁寧にカタチにして行きたいと思います。