2022.07.27

KNOWCHのぶどう デラウェアができました

あっという間に梅雨が明け、例年より早く夏を迎えた日本列島。

暑い時期にピッタリの果物といえば…そうです!ぶどうです!

今回はKNOWCH(以下、ノウチ)のぶどう園にお邪魔して、旬を迎えた「デラウェア」の2022年初収穫に密着。収穫の方法や、育てる際のポイントなど根掘り葉掘りお話を聞いてきました!

7月6日水曜日。俵万智さんの「サラダ記念日」でもあるこの日。金沢市街から、のと里山海道を車で走らせること40分。

眼前に広がる日本海の雄大な水平線を横目に、やってきたのは石川県かほく市高松。ぶどうの産地として100年以上の歴史をもつこの土地に、OPENSAUCEの農地所有適格法人KNOWCH(ノウチ)のぶどう園はあります。大きな「KNOWCH」のロゴが、倉庫の目印です。

ノウチのぶどう園はこの倉庫付近に全部で5つあり、面積を合計すると約1ヘクタール、25mプールに換算すると36個分の大きさです。栽培面積の95%以上は、元々別のぶどう農家さんが所有していた土地を譲り受けています。

なぜ、土地を譲り受けているのか。その背景には、『遊休している「農地」を使い、農業に関わる人の「農知」をつなぐことで、「農値」をあげる。』という、ノウチの掲げるミッションがあります。単純に、育てて収穫してお終い。ではなく、土も技術も想いも、そのすべてを未来に紡いでいくことを念頭に、100年以上という長い歴史を持つこの土地でぶどう園を営んでいるのです。

案内してくれた城 理乃(たち りの)さんは、2019年KNOWCH入社。以来、高松にあるKNOWCHのブドウ園で栽培に従事。 100年続く高松のぶどうを沢山の人に届ける為、一緒に働く若い農家さんと奮闘中!趣味は、お子さんと一緒に漫画を集めること(1000冊ほど集めてるそうです)。

「デラウェア」について

さて、ここで今回の主役「デラウェア」について簡単にご紹介。

デラウェアは、1855年にアメリカ・オハイオ州デラウェアで命名発表され、日本には1872年の明治時代にやってきたとされています。果皮は赤紫色をしており、糖度は20度前後と甘味が強く、7月から9月に旬を迎えます。

赤紫色の見た目に反して白ワインの原料としても使用されており、甘口から辛口まで味わいは様々。極甘口のアイスワインや、オレンジワイン、スパークリングワインの原料としても使用されていて、ワイン好きからも人気を得ている品種の一つです。

1万種類以上の品種が存在するとされるぶどうのなかで、恐らく皆さんにとって一番なじみ深いであろう味とフォルムを身にまとっているぶどう、と言われればピンとくる人も多いのではないでしょうか?

巨峰やマスカットなど高級で大粒なぶどうに対し、小粒ではあるが手頃な価格で広く世間で親しまれてきたのが、このデラウェアです。

デラウェアの魅力

そして、なんといってもデラウェアの最大の特徴は「種無し」のぶどうであること。

種がないことで手が汚れるなんて面倒なこともないし、子どもからお年寄りまで安心して食べられることが、長年愛されてきた秘訣なのかもしれませんね。

しかし、なんとデラウェアは元々種ありのぶどうで、成長過程において種無しのぶどうに処理されているとのこと!

確かに種がないなーと思っていましたが、当たり前すぎて考えたこともありませんでした…。

その処理とは、植物ホルモンの一種であるジベレリンを使った「ジベレリン処理」というもの。

このジベレリン処理こそ、デラウェアの品質を左右する「命」とも呼ばれていて、最も重要なポイントなのだそうです!

ジベレリン処理

ジベレリン処理とはなんぞや?ということで、肝心の処理の方法を聞いたところ、「ジベレリンの液体が入った容器にぶどうを一房ずつ浸透させていく」ということで、作業自体は一見シンプルなイメージなのですが…。作業そのものよりも、ジベレリン処理の適切なタイミングを判断するのが一番難しいとのこと。

ジベレリン処理の様子

ジベレリンの処理を行う時期、通称“ジベドキ”には一定の基準が設けられているそうで、例えば、枝から出ている葉っぱの枚数が7.5枚以上だったり、花穂(かすい)と呼ばれる赤ちゃん房の、一番上の実の開き具合が90度くらいなど、ぶどう農家さん共通の目安が存在するそうです。

しかし、その年々の気候や気温の変化によって一房一房の状態は毎年もちろん違います。

さらにはジベレリン処理を行う前日や当日の天候、湿度によって液体の浸透具合に大きな差がでてしまうため、あらゆる環境の変化を考慮したうえで、成長具合をこまめに観察し、ジベレリン処理のスケジュールを組まなければいけません。

処理後の乾燥具合や雨の影響などでも、液体がうまく浸透しないこともあり、そうすると再処理を行う必要性がでてきます。翌日から翌々日の朝、露の帰り具合で成否を判断するのですが、最終的にそれまでは祈るしかないそうです。(笑)

“ジベドキ”の花穂

種無しが当たり前だと思っていましたが、長い時間と丁寧な作業の末に種がなくなり、私たちの元に届いているのと考えると、本当に地道で手間ひまがかかる作業ですね…。

ちなみにノウチのジベレリン処理は、種無しにする「無核化」と、「顆粒肥大」と呼ばれる、ぶどうの粒を大きくして形を美しくする目的で2回に分けて行われています。今年はおよそ6万房のぶどうをジベったそうです。

いざ収穫!

そんなこんなでジベレリン処理もしっかりと行われ、万全の状態であるデラウェアをいよいよ収穫!

この日の開始時間は朝の6時。農家の朝は、やはり早い。

収穫する際には、実っているぶどうを片っ端から収穫するのではく、一房ずつで異なるベストな収穫のタイミングを見極めていきます。

まずは「枝の状態」を見るんだそう。若い枝は緑色をしているのですが、段々と成長を遂げ、色濃く太く育っていきます。そうした枝に実っているぶどうが、収穫時期の目安なのだそうです。

若いぶどうの枝
育ったぶどうの枝

ある程度の目星をつけたら、その枝に実っている房や粒の状態を確認し、酸味がしっかりと抜けているか味見をしながら収穫をしていきます。日中気温が上がるまえに2-3時間かけて、多い時では1日に1,200房ちかく収穫するんだそう。

懇願の眼差しを送っていた甲斐もあり、取材中に数粒味見をさせていただきましたが、どれも甘くてとても美味しい!!

夏の日差しがビニールハウスごしに照りつける最中、汗だくで水分が枯渇していた体にデラウェアの甘さが「ぷちっ」という水々しい食感と共に、五臓六腑に染み渡ります。まさに、「くってみな。とぶぞ。」の味わい。

無論、収穫だけでは終わりません。その日に収穫したぶどうはその日の内に出荷する必要があるため、ここからは時間との戦いが始まります。

収穫した後は倉庫に戻り、粒の確認や商品規格に合わせた大きさの調整を行い、箱詰め作業をして出荷体制を整えます。15時30分までに卸先に届けられれば出荷作業終了。ここまでが1日のスケジュールです。

ぶどうの直売、はじめました。

沢山の労力と愛情を注ぎ、手塩にかけて大切に育てられたノウチのデラウェア。

ぜひ、皆さんも食べてみたいですよね。

なんと、今年からノウチのECサイト上にて、このデラウェアの購入が可能になりました!!

冷蔵庫でよく冷やすことで、甘みに酸味が加えられより一層美味しい味わいに。

さらに、凍らせるとシャーベット感覚で食べられ、美味しさが倍増するのでおすすめです!

ぶどう栽培において100年以上の歴史をもつ、石川県の高松で育てられたノウチのデラウェアをぜひネット通販で召し上がってみてください!

https://knowchgrape.official.ec

text /Uki Sekiguchi