- 書名:をみなごのための室生家の料理集
- 著者: 室生洲々子
- 発行所:龜鳴屋
- 発行年:2016年
著者の室生洲々子さんは室生犀星の孫であり、室生犀星記念館名誉館長だ。
母の随筆家、朝子さんは祖母から受け継いだ犀星が大切にした金沢の家庭料理をつくり続けたが、東京生まれ東京育ちの洲々子さんは残念ながら、その料理を学ぶ機会を逸したらしい。
タイトルの「をみなご」とは若い女の子のことだ。
そのこともあって、洲々子さんはこの本で淡々と料理の思い出を語りながら、シンプルな、余計なテクニックなど排除したレシピ本にまとめてくれた。
そして金沢でたった一人の自営出版を営む龜鳴屋(かめなくや)、勝井隆則氏によってA5判・並装・糸かがり・コデックス製本で造本、刊行された。
小鰯のからいり、鰈の煮付け、鮭フレーク、筍汁、そうめん南瓜、おそうめんとお茄子、主役は葱、雪見豆腐、れんこん汁、とうもろこしのスープ、オムレツ、フレンチ・トースト・ウイズ・ハンバーガー、焼きそば、じぶ、えび、お雑煮、ひろず、金沢式玉子焼、かきあげ、豚のしっぽ、パウンドケーキ…
そしてザク。室生犀星考案の残っている野菜をなんでも入れる雑な料理だったが、「ザツ」ではお粗末と犀星は「ザク」と名付けた。
出版にたずさわることから社会に出て、映像も含めた電子メディア、ネットメディア、そして人が集まる店舗もそのひとつとして、さまざまなメディアに関わって来ました。しかしメディアというものは良いものも悪いものも伝達していきます。 そして「食」は最終系で人の原点のメディアだと思います。人と人の間に歴史を伝え、国境や民族を超えた部分を違いも含めて理解することができるのが「食」というメディアです。それは伝達手段であり、情報そのものです。誰かだけの利益のためにあってはいけない、誰もが正しく受け取り理解できなければならないものです。この壮大で終わることのない「食」という情報を実体験を通してどうやって伝えて行くか。新しい視点を持ったクリエーターたちを中心に丁寧にカタチにして行きたいと思います。