- 書名:自然派インド料理 ナタラジ レシピブック
- 著者:Natraj
- 発行所:PARCO出版
- 発行年:2011年初版 2016年第3刷
著者Natrajはナタラジさんではなく店の名前で「踊る神」という意味だ。総料理長は1990年に来日したラムナニ・アシワニ・サダナンダさんで、レシピはこの方による。オーナーは36才で来日し1987年に結婚したカハール・N・ブッダッドゥとサイカワマサコさん夫妻。
会議中にひょんなことから、青山のナタラジ、肉とか入ってないのに満足感のあるおいしさだったよね、という話がでて、レシピブックを探してみた。
アーユルヴェーダの知恵をベースに野菜や豆など100%植物性素材を使ったヘルシーな家庭向けレシピの初公開とある。肉・魚・卵・乳製品は一切使わない。アレルギーのある人にも良いかもしれない。
でも記憶ではとってもおいしかったのである。その秘密は何か。調理法を読むと特別なことはないがやはりスパイスの組み合わせか?
ナタラジは菜食インド料理の草分け、と言われる人気店なので、この本はベジタリアン、ビーガン思考が広まってきた今のニーズにピッタリとあっているのではないだろうか。
当然ながらカレーは野菜カレーだ。パコラというインド風かき揚げが入ったもの。チャナダルという皮を取って挽いたひよこ豆のカレーなど。天然酵母のナンも惹かれる。
プラウ=スパイスで味付けしたごはん、特にクミンシードの油で炒めるジーラ玄米は試したい。キチリというグリーンムングダル(緑豆)を使ったおかゆがあることを知る。アチャ(漬物)やインドのお母さんが作るバジ(炒め物)。トマトやコリアンダーの葉などでつくるいろいろなチャツネは日常の食卓にも使えそうだ。デュラムセモリナ粉でつくるというお菓子。ドリンクやスイーツとスパイスの関係も面白い。
出版にたずさわることから社会に出て、映像も含めた電子メディア、ネットメディア、そして人が集まる店舗もそのひとつとして、さまざまなメディアに関わって来ました。しかしメディアというものは良いものも悪いものも伝達していきます。 そして「食」は最終系で人の原点のメディアだと思います。人と人の間に歴史を伝え、国境や民族を超えた部分を違いも含めて理解することができるのが「食」というメディアです。それは伝達手段であり、情報そのものです。誰かだけの利益のためにあってはいけない、誰もが正しく受け取り理解できなければならないものです。この壮大で終わることのない「食」という情報を実体験を通してどうやって伝えて行くか。新しい視点を持ったクリエーターたちを中心に丁寧にカタチにして行きたいと思います。