2020.05.11

ワインのペアリング 色編

オレンジ色のワインペアリング

【ソムリエミショウのワインセラー 第二回】

ワインに興味はあるけれど、楽しみ方がよくわからない。高級なワインを知らなければ本当の美味しさがわからないのでは、と思っている。

そもそもワインって何?

このように思う方も多いのではないでしょうか。 このコラムではそんな方々のために、色々な角度からワインについてお話しさせていただき、気軽で楽しくて奥深いワインの世界へご案内したいと思います。

お久しぶりでございます。

今回は「料理とワインのペアリング」のお話です。

これを読めば、ワインをもっと飲みたくなるはず。

食事のときのワインのチョイスは自由自在。

ワイン以外の飲み物にも応用できるんじゃない?
これも合わせてみようかな、あれはどうなんだろう、試してみようか。

あっ、なんだろこれ、美味しくて幸せ。

皆様のQOLが急上昇すること間違いなしと信じております。

早速始めましょう。

そもそもワインのペアリングって何?

ロゼワインのペアリング

ワインと料理を合わせて楽しむことをペアリングといいます。

フランス語ではマリアージュ(Mariage)と言ったり、アコーデ メ エ ヴァン(Accords Mets et Vins)と言ったります。

ワインの面白いところは料理と合わせたときに全く別物,と思うぐらい印象が変わるところだと私は思います。

ワインだけで飲んだ時には、酸っぱいな、甘いな、苦いな、アルコールが強いな、など一つの要素が目立ってしまい美味しく感じられない時があります。

しかし、料理と一緒に飲むとそのワインの印象がガラッと変わり、さっきまで感じていたネガティブな要素があったからこそ逆に料理を引き立ててくれて、ワインと料理どちらもさらに美味しく感じられることがあります。

料理とワインが合っている。ペアリングが成功している状態です。体験すると結構、感動します。同じ映画を観て面白いと思うのと同じように、同じペアリングは何度味わっても美味しいです。

因みにですが、私の人生最初のペアリング成功体験は甘口ワインとベイクドチーズケーキ。そして失敗体験はシャンパーニュと数の子です。

どちらも皆様には体験してほしいと思うペアリングなので試してみてください。

今回は、具体的な1対1対応を皆様に紹介しても再現性がないと思いましたので、まずは教科書的な基礎的な部分を抑え、そこにプラスして、私がソムリエとしてこれまでのペアリング経験から導き出した独自のペアリングのルールを紹介したいと思います。

私が、ソムリエの仕事としてペアリングを考えるとき、プライベートでワインショップやレストランに行ったとき、家でワインを飲む時、いつもこのペアリングのルールを使っています。是非、試してペアリングを成功させてください。

まずは基本的なペアリングの考え方です。

多くのソムリエがペアリングを考える際に考慮する3つの基本です。ソムリエ教本やワインの参考書等でも紹介されています。

1.料理の味わいの濃度

軽い料理には軽いワイン、味わいの濃い料理には重厚なワインを合わせる。

2.料理とワインの品格

家庭料理に高級ワインをワインを合わせる必要はなく、高級ホテルやレストランの料理にカジュアルなワインを合わせるようなことはおすすめではない。

3.郷土料理にはその土地のワイン

理屈抜きに楽しめます。

料理の色とワインの色を合わせる。

赤ワインのペアリング

上の3つの考え方を抑え、私の今までの経験と併せてこのルールをご紹介させてください。 「料理の色とワインの色を合わせる。」です。

「魚には白ワイン、肉には赤ワイン。」皆様もきっと聞いたことがあるこの言葉。

ソムリエの私もお客様から、「次は魚だから白を」、「肉だから赤を。」とよく注文されます。

もちろん魚には白ワイン、肉には赤ワインって良いペアリングの時が多いです。

今回はここからもう一歩踏み込んでお伝えします。

例えば鯛を例にとって考えてみます。

オリーブオイルとハーブで食べるカルパッチョや塩とレモンで食べる刺身の場合。その料理をパッと見たときに感じる色合いは白、緑、黄の色調だと思います。なので、その色調に近いワインを選んでみてください。

白ワインのカテゴリーにも緑の色調から黄、黄金、琥珀、茶の色調と幅広い色調が見られます。

すごくざっくりというと緑のワインはフレッシュな感じがします。そこからボディやアルコールが強くなるにつれて黄、黄金の順に色調が変化します。琥珀や茶の色調を帯びたワインは熟成を経たことの表れです。

ワインの色合いと香り、味わいの関係は改めてお話ししますが、色調だけでそのワインがどういう産地、どういうブドウ品種、どういう味わいかが予想できるぐらいワインの色合いにはそのワインの出自に関する情報が詰め込まれています。

話を戻します。

同じ鯛の刺身でも醤油をつけて食べる場合は色合いがピンク、赤、茶の色調に変わります。なのでワインは白ワインよりもロゼワインやオレンジワイン、淡い色合いの赤ワインの方が合ったりします。

次はマグロを例にとってみます。

生の身は赤の色調、火を入れると茶の色調になります。なのでマグロは生でも、火を入れた場合でもロゼワインや赤ワインが合います。塩で食べるならロゼ、醤油で食べるなら赤ワインぐらいのイメージです。

ではトロの場合は?

身はピンクや白の色調。さらにトロの味にはボリューム感があることを考えると、ボリューム感のあるロゼやしっかりとした味わいの白ワインだとペアリングが成功しやすくなります。

鶏肉や豚肉の場合はどうでしょう。

肉なので赤ワイン、と言いたいところですが、鶏肉、豚肉は生の状態では白やピンクの色調。焼いたり煮たりすると白、茶の色調へ変化します。なので赤ワインよりも白ワインや、ロゼワインがおすすめです。もし赤ワインを選ぶなら、淡い色合いの赤ワインが良いと思います。

牛肉も考えてみましょう。

赤いから赤ワインで間違いないと思います。

では、ランクの高い牛肉はどうでしょうか。さしが入っていて、白っぽいです。さしの多く入った牛肉には白ワインでも合うときがあります。

このルールを使うだけでワイン選びのハードルがぐっと下がると思います。

さらにワインの選択肢を絞る

ワインの色が決まったら、料理の脂の強さによるボリューム感、ソースやつけ合わせによる風味を考えてさらにワインの選択肢を絞っていくことができます。

ワインのボリューム感は気候やブドウの熟度、風味はブドウの品種や醸造方法等によって特徴が出てきます。

これらの関係については後日改めてお話しさせて頂きます。

色なんてボトルに入ってたら見えないじゃん。ワイン、全然分かんないから選べないよ。

そんな方々にちょっとした選び方のコツもお伝えします。

ワインボトルの色と形と色の関係

白ワインのペアリング

ボトルの色、形とワインの色の関係にも、ちょっとしたルールがあります。

白ワインのボトルには透明なものや緑色のものがあります。

透明のボトルには緑の色調が強いワイン、フレッシュな味わいのワインが多く。緑色のボトルは黄色の色調が強いワイン、比較的ボディの強いワインが多いです。

いかり肩のボトルはワインの色は緑色が強く、なで肩のボトルは黄色が強いです。

赤ワインのボトルはボトル自体の色の違いは少なく、なで肩かいかり肩の二つに分けることができます。

なで肩のボトルには淡い色調の赤ワイン、いかり肩のボトルには紫や黒に近いような濃い色調のワインが入っています。

このルールから外れているワインももちろんあります、しかし、街なかで購入できるワインなら多くのワインにこのルールが当てはまるので試してみる価値はあると思います。

ワインを美味しく召し上がれますように…。

text:Misho Takakuwa
(本稿はOPENSAUCE元メンバー在籍中の投稿記事です)