
부대찌개=プデ(軍隊)チゲ(鍋)
プデ。
軍隊。
わたしは幼い頃、その言葉の重さを知らなかった。
ただ、この赤くてピリ辛なお鍋が大好きだった。
加工肉の塩気も、
とろけたラーメンも、
最後に残る少し濃いめのスープも。
それは、ただ只わたしにとっての「オカンの味」だった。
父は沖縄にルーツを持ち、
母は韓国の血をひいている。
二つの土地に共通しているのは、
青い海でも、赤い唐辛子でもなく、
遠くからやってきた軍隊の存在。
韓国では、それをキムチと煮込む。
辛さで抱きしめられるように。
沖縄では、それを卵とともに焼き、
白いごはんにのせる。
生活の輪郭にそっと収まるように。

どちらも、
選べなかった歴史を、
選び直した味だったのかもしれない。
赤いプデチゲを囲みながら、
私は両親の若い頃を想像する。

足りないものが多かった時代。
けれど、食卓だけは温かくあろうとした時間。
軍隊鍋、と呼ばれる料理が、
いつしか家族の食卓になっていく。
歴史は消えない。
けれど、味は変わる。
辛さの奥に、
やわらかな塩気があるように。
スプーンですくうたび、
私は二つの土地を往復する。
赤い湯気の向こうには
母の声があり、
父の背中がある。
そして、そのあいだに立つ自分を知る。
鍋の底に残ったスープは、
少し冷めると静かになる。
それでも、
口に運べば、まだ温かい。
この温もりは、
わたしを原点回帰させてくれるエッセンスなのだ。

※今ではすっかり日本でもお馴染みになったプデチゲ。簡単にお鍋の素も手に入る。
부대찌개【プデチゲ】レシピ
簡単レシピ(家庭用・約2〜3人分)
材料
- 豚肉(薄切り or バラ)…200g
- 白菜 …1/8株
- ニラ …1/2束
- もやし …1袋
- きのこ類 …適量
- キムチ …150〜200g
- ソーセージ …4〜5本
- スパム …1/2缶
- インスタントラーメン …1袋
- ニンニク…適宜 お好みの量
【調味】
- ごま油 …小さじ2
- コチュジャン …大さじ2
- ダシダ …大さじ1
- 水 …600〜700ml
作り方
① 下準備
野菜は食べやすい大きさに切る。
スパムは5mm程度の厚さに。
ソーセージは斜め切り。
② 炒める
鍋にごま油を熱し、豚肉を軽く炒める。
キムチも加えて一緒に炒め、香りを立たせる。
③ 煮る
水を加え、コチュジャン・ダシダを溶かす。
沸いたら白菜、もやし、きのこ、スパム、ソーセージを並べる。
④ 仕上げ
全体が煮えたら、ラーメンを投入。
最後にニラをのせ、1〜2分煮れば完成。
ポイント
- キムチは“炒めてから煮る”とコクが出ます。
- スパムは煮すぎない(形が残るくらいが美味しい)。
- 仕上げにとろけるチーズを加えても◎(本場風アレンジ)。
- 辛さはコチュジャンで調整。
プデチゲは、「足りない」から生まれた料理ではあるけれど
「あるもので煮る」が前提の闇鍋だ。
具材は自由。冷蔵庫に残った野菜でいい。
けれど、
スパムとキムチが出会う瞬間だけは、
少しだけ歴史に思いを馳せてもいいのかもしれない。
沖縄にルーツを持つ父親と、韓国人の母との間に産まれ、幼い頃から日本食とは一風変わった食卓で育ちました。
転勤族の父親に付いて、全国津々浦々に移り住み、グルメな母親の影響で週に一度は外食をしていました。
それでもやはり、一番好きな食事は母親の手作りです。母も小まめに料理を作り、夕飯の家族一緒の団欒はかけがえのない想い出です。
今でも月に一度の頻度で、田舎の特産品や母親手作りの常備菜が届きます。
そんな私が、もう永住するしかないと決めた大好きな街、金沢。
其処から全国、ひいては全世界に向けて食のあり方を発信することが出来る私たちの会社を誇りに思い、末端ながらお仕事出来る喜び…と、美味しい賄いを噛み締めている毎日です。