出版にたずさわることから社会に出て、映像も含めた電子メディア、ネットメディア、そして人が集まる店舗もそのひとつとして、さまざまなメディアに関わって来ました。しかしメディアというものは良いものも悪いものも伝達していきます。 そして「食」は最終系で人の原点のメディアだと思います。人と人の間に歴史を伝え、国境や民族を超えた部分を違いも含めて理解することができるのが「食」というメディアです。それは伝達手段であり、情報そのものです。誰かだけの利益のためにあってはいけない、誰もが正しく受け取り理解できなければならないものです。この壮大で終わることのない「食」という情報を実体験を通してどうやって伝えて行くか。新しい視点を持ったクリエーターたちを中心に丁寧にカタチにして行きたいと思います。
書名:大坊珈琲店 著者:大坊勝次 発行所:誠文堂新光社 発行年:2014年 1975年に大坊珈琲店は表参道の交差点近くに開店した。自分が時々その古いビルの2階のドアを開けるようになったのは、開店して1年くらいの時で、まだ二十歳そこそこ、店主、大坊勝次氏もまだ三十代になっていなかったと思う。 独立して……