出版にたずさわることから社会に出て、映像も含めた電子メディア、ネットメディア、そして人が集まる店舗もそのひとつとして、さまざまなメディアに関わって来ました。しかしメディアというものは良いものも悪いものも伝達していきます。 そして「食」は最終系で人の原点のメディアだと思います。人と人の間に歴史を伝え、国境や民族を超えた部分を違いも含めて理解することができるのが「食」というメディアです。それは伝達手段であり、情報そのものです。誰かだけの利益のためにあってはいけない、誰もが正しく受け取り理解できなければならないものです。この壮大で終わることのない「食」という情報を実体験を通してどうやって伝えて行くか。新しい視点を持ったクリエーターたちを中心に丁寧にカタチにして行きたいと思います。
書名:彼女のこんだて帖 著者:角田光代 発行所:ベターホーム出版局 発行年:2006年 角田光代にはサラリーマンの父親と小さなパン屋をのような店を営む母がいた。20歳で独立するまで母の聖域である台所に入ったことがなかった。全ての食事は食卓に忙しい母が運び、妹と自分の毎日の弁当も用意された。だからその……