2021.11.24

料理大好き小学生がフランスの台所で教わったこと
【私の食のオススメ本】

小学生がフランスの台所で教わったこと 表紙

  • 書名:小学生がフランスの台所で教わったこと
  • 著者:ケイタ
  • 発行所:有限会社自然食通信社
  • 発行年:2020年

ケイタくんは2020年小学五年生の時、フランス料理が食べたいとクラウドファンディングで資金を作り、自分の意思でフランスへ行く。母親は付き添いだ。

2歳の時に神戸から長野の上伊那の村に移住。親は自然の中で生きることを望み、農業を営むようになる。農業ボランティアで来ていたフランス人シェフの料理でフランス料理に目覚める。

腸閉塞の手術で1週間飲まず食わずの病院生活で読んでいたのはフランス料理やフランスに関する本だった。よくなったら何を食べるかを考えてばかりの著者・ケイタくんは一念発起、フランス行きを考え実行した。その顛末と食べたものと料理の日記がこの本である。

熱を出した時、宿泊先のパウロのお母さん(料理の先生でマダムと呼ばれる)が作ってくれたのが、バターナッツかぼちゃを使ったクローブ風味がおいしい「農民のスープ」。そのマダムが教えてくれた「ポトフ」と「ラタトゥイユ」。

凱旋門のカフェでは店員に「フランスの朝食を食べたい」といい、クロックムッシュとホットミルクにありつく。クリームシャンティイが有名なシャンティイ城で食べた「シャンティクリーム」は甘くて残してしまう、正直である。

フランス東部シャンベリーではとうもろこし粉のお粥「ポレンタ」。野菜とチーズの「農家のラザニア」と「野菜スープ」を習う。アルプス名物「ラクレット」でチーズを堪能。

レストランLe Bouchon Cordeliersでは素材の甘さが口に広がる「かぼちゃのスープ 豚の脂の素揚げ付き」。トゥルーズでは「クロックムッシュとクロックマダム」を習い、マルシェで食材を仕入れ、鶏胸肉のチーズはさみ焼き「コルドンブルー」そして、鶏を丸ごと捌き「鶏肉のフリカッセ・アンシェンヌ風」を覚える。

ケイタくんはフランス料理でちょっとわかったことは「いつも豪華とは限らない」ということ。長野にボランティアに来ていたシェフ、ジェレミーの家で習ったことは「料理が上達するのはいろんなものを食べること」ということ。

こんな旅は、うらやましい。

有名なクリエイティブディレクターで写真家のワタナベアニさんがパリの撮影を買って出ている。これもうらやましい。

WRITER Joji Itaya

出版にたずさわることから社会に出て、映像も含めた電子メディア、ネットメディア、そして人が集まる店舗もそのひとつとして、さまざまなメディアに関わって来ました。しかしメディアというものは良いものも悪いものも伝達していきます。 そして「食」は最終系で人の原点のメディアだと思います。人と人の間に歴史を伝え、国境や民族を超えた部分を違いも含めて理解することができるのが「食」というメディアです。それは伝達手段であり、情報そのものです。誰かだけの利益のためにあってはいけない、誰もが正しく受け取り理解できなければならないものです。この壮大で終わることのない「食」という情報を実体験を通してどうやって伝えて行くか。新しい視点を持ったクリエーターたちを中心に丁寧にカタチにして行きたいと思います。