- 書名:ばあちゃんの幸せレシピ
- 著者:中村優
- 発行所:木楽舎
- 発行年:2017年
著者、中村優は自身の二人の祖母が大好きだったという。そのあばあちゃん好きが高じて、かもしれないが、世界のおばあちゃんに会ってレシピを集める旅に出る。自ら「ばばハント(おばあちゃんハンティング)」というのだが、タイプのおばあちゃんを探すには条件がある。
- 信頼している人に聞く、もしくは言葉が通じる人に会う=同じメンタリティの人
- 自分の中でしっくりくる言葉を見つける=80歳以上の、料理上手でロックなばあちゃん
- どうしても会いたいのだというパッションを伝える=具体的なパッションを持って伝えると必ずあえる。
こうして出会ったおばあちゃんたちから、戦ったわけではないが、得た愛の戦利品のようなギフトがこの本だ。
スペイン、マリアローズさんの「かぼちゃジャム」とパスタのデザート「アレトリア」。三重県尾鷹、満子さんの厚焼き玉子。スリランカ・コロンボ、メッタさんの「コラキャンダ(薬草系お粥)」。
岐阜、小枝子さんの「ニシン鮨」。ミクロネシア、日系人ミチコさんの「コスラエスープ(カツオ、ココナツミルク、玉ねぎ、お米のお粥)」。スペイン・ガリシア、マノリータさんの「カルトカジェゴ(鶏もも・スペアリブ・塩漬け豚の煮物)」。
台湾・高雄、フーチューさんの「炒米粉」。バンコク、ノーイさんの「チリペースト」…。これは、持ち帰った20人以上のおばあちゃんの、人生の知恵の伝言とレシピから見た観察日記でもある。
出版にたずさわることから社会に出て、映像も含めた電子メディア、ネットメディア、そして人が集まる店舗もそのひとつとして、さまざまなメディアに関わって来ました。しかしメディアというものは良いものも悪いものも伝達していきます。 そして「食」は最終系で人の原点のメディアだと思います。人と人の間に歴史を伝え、国境や民族を超えた部分を違いも含めて理解することができるのが「食」というメディアです。それは伝達手段であり、情報そのものです。誰かだけの利益のためにあってはいけない、誰もが正しく受け取り理解できなければならないものです。この壮大で終わることのない「食」という情報を実体験を通してどうやって伝えて行くか。新しい視点を持ったクリエーターたちを中心に丁寧にカタチにして行きたいと思います。