2022.02.09

松宏彰(カレー細胞)
 ニッポンカレーカルチャーガイド
【私の食のオススメ本】

ニッポンカレーカルチャーガイド 表紙

  • 書名:ニッポンカレーカルチャーガイド
  • 著者:松宏彰(カレー細胞)
  • 発行所:Pヴァイン
  • 発行年:2017年

自らを『カレー細胞』と名乗り、Youtuberとしてもイベンターとしてもカレー関連のプロデューサーとしても有名なのが著者、松宏彰だ。そのカレー細胞氏は、カレーは日本が誇る食文化だと力説する。

たしかに世界中にインド系の人はいてレストランをやっている。それはインド、パキスタン、ネパール、スリランカなどの自分の国とか近い国とかの料理である。しかし、日本のカレーは日本のカレーとして進化、変容、増殖してきたのである。

アメリカの家庭で夕食にカレーが出る話はあまり聞かない。

世界の多くではcurryはJapanese Foodに位置付けられている。本書では日本にあるカレーの名店、チェーン店のガイドになっている。残念ながらトップに主だった店のカレーがカラーで載っているが、あとは小さな白黒写真である。加えて体験談的な感想が載っている。

こういう本はこれでいいのである。気になる店はググれば良いのである。山ほど情報は出てくる。この本は気になる店を見つける入り口である。

日本に来た外国人に案内すべき日本カレー文化の基準としての「カレーライス」の項では、金沢カレーの代表として、金沢ではコロナ禍にアメリカ進出で成功している老舗チェーン店の「チャンピオンカレー」や老舗店「ターバンカレー」なども挙げられている。

本書は、日本カレーのパイオニア、洋風・欧風カレー、カレーライス、カレーパン、和カレー、中華カレー/カレーラーメン、世界のカレー、スープカレー、クラフトカレー/スパイスカレー、スパイス居酒屋&バー、肉料理屋のカレー、カレーイノヴェイティブ、レトルトカレー、カレー+カルチャーイベントというように分けられ、日本のカレーカルチャーなるものが複雑でいて独自のものであることを証明となっている。

WRITER Joji Itaya

出版にたずさわることから社会に出て、映像も含めた電子メディア、ネットメディア、そして人が集まる店舗もそのひとつとして、さまざまなメディアに関わって来ました。しかしメディアというものは良いものも悪いものも伝達していきます。 そして「食」は最終系で人の原点のメディアだと思います。人と人の間に歴史を伝え、国境や民族を超えた部分を違いも含めて理解することができるのが「食」というメディアです。それは伝達手段であり、情報そのものです。誰かだけの利益のためにあってはいけない、誰もが正しく受け取り理解できなければならないものです。この壮大で終わることのない「食」という情報を実体験を通してどうやって伝えて行くか。新しい視点を持ったクリエーターたちを中心に丁寧にカタチにして行きたいと思います。