
僕が向かったのは、下鴨神社。
正式には「御手洗祭(みたらしまつり)」と呼ばれる、いわゆる「足つけ神事」である。
普段は入ることのできない御手洗池(みたらしがいけ)に、この時期だけは裸足で入ることができる。
ひんやりとした水の中へ、そっと足を入れる。
猛暑の京都である。
それだけでも、もう充分にありがたい。
御手洗池を進み、奉納する蝋燭に火を灯す。
無病息災を願い、池から上がったら、今度は湧き出る御神水をいただく。
足元から清め、最後は身体の内側からも清める。
なんとも京都らしい、粋な夏の過ごし方である。
参拝の流れは実にスムーズだ。
人の波に乗って歩いていると、気がつけば一連の神事を終えている。
それでも、不思議と厳かな空気は消えない。
たとえ人が多くても、暑くても、流れ作業のように進んでいても。
水の中に足を浸した瞬間、シャキッっ!と背筋が伸びる。
ちなみに、この下鴨神社。
別名「みたらし神社」とも呼ばれ「みたらし団子」発祥の地としても知られているのは、あまりにも有名だ。
御手洗池から湧き出る水泡を団子に見立て、神前に奉ったのが、その由来だという。
となれば、参拝の後の楽しみは当然。。。みたらし団子一択だ。

ところが……涙。
この日は水曜日。
発祥の店として知られる「加茂みたらし茶屋」は、まさかの週一回の定休日。
ならばと、友人おすすめの「出町ふたば」へ向かえば、こちらは月に一度の連休に見事にぶつかる。
京都よ。
なかなか、そう簡単には甘味を食べさせてくれない。
諦めて京都駅へ戻ろうかと思った、その時。
近くの商店街をぶらぶら歩いていると、思いがけないものを発見した。
なんと、焼き立ての「阿闍梨餅」!

店主に、
「出来立てですか?」
と、尋ねると
「あぁ、出来立てだよ!!触ってみるかい?」
と、袋詰めの商品を触らせてくれた。
(ホカホカ)……これは、もう買うしかない。
モッチモチで温かな餅米を主原料にした皮。
その中には、丹波産大納言の小豆で作られた粒餡がぎっしり。
見た目はどら焼きのようでいて、どら焼きではない。
似ているようで、まったく違う。
やっぱり、唯一無二の和スイーツである。
そして、ふと思う。
〝下鴨の
みたらし団子
阿闍梨餅〟
もう、この一句で京都の夏の和スイーツは語れてしまうのではないか。

足を清めて
願いを込めて
最後は甘いものにありつく。
京都の夏は、なかなか忙しい。
けれど、こうして一日を振り返れば、その忙しさもまた、なかなかに美味しいのである。
2026年 暑中お見舞い申し上げます。


沖縄にルーツを持つ父親と、韓国人の母との間に産まれ、幼い頃から日本食とは一風変わった食卓で育ちました。
転勤族の父親に付いて、全国津々浦々に移り住み、グルメな母親の影響で週に一度は外食をしていました。
それでもやはり、一番好きな食事は母親の手作りです。母も小まめに料理を作り、夕飯の家族一緒の団欒はかけがえのない想い出です。
今でも月に一度の頻度で、田舎の特産品や母親手作りの常備菜が届きます。
そんな私が、もう永住するしかないと決めた大好きな街、金沢。
其処から全国、ひいては全世界に向けて食のあり方を発信することが出来る私たちの会社を誇りに思い、末端ながらお仕事出来る喜び…と、美味しい賄いを噛み締めている毎日です。