
芦原温泉駅内にあるアフレア一階の「いろはゆAWARA」で、以前から気になっていた「厚揚げ越前おろしそば」を食べてきた。
そして蕎麦のあとは、あわら温泉の老舗旅館「まつや千千」へ。
蕎麦に舌鼓を打ち、温泉に浸かる。
最近すっかり定着してきた、僕の「一蕎麦一温泉」ムーブメント。
福井の「油揚げ」は、ちょっと違う
「いろはゆAWARA」は、芦原温泉駅に直結するアフレアの一階にある、土産物店を併設したカフェスタイルのお店である。
越前蕎麦やカレー、ハンバーガーやコーヒーなど、ちょいと小洒落たカフェ飯を気軽に楽しめる。
そこで今回注文したのが、厚揚げ越前おろしそば。
もう何度も味わってきた、福井のおろし蕎麦。
冷水でキュッと締められた蕎麦に、たっぷりの大根おろし。甘めのお出汁。そして、その上に…
ドンっ!
主役として激しく自己主張する、分厚い油揚げである。

カリカリに焼かれた表面。
その内側は、ふっくら&モチモチ。
噛めば噛むほど大豆の香りが広がり、蕎麦のお供というより、もはや厚揚げを食べるために蕎麦が添えられている。そんな存在感である。
これは、美味い。
姉は期間限定の「おろしとろろ蕎麦」をオーダーした。

こちらは、とろろだけではなく、刻みオクラやなめこまで加わったネバトロ好きにはたまらない一品。こちらもしっかり冷水で〆られた蕎麦と、甘めのお出汁がよく合っている。
なぜ福井では、こんなにも油揚げが厚いのか?
福井県は油揚げ文化が盛んな土地だということは、以前から何となく耳にしていた。
しかし実際に福井のスーパーを覗いてみると、その「何となく」が一気に現実になる。
油揚げ売り場に並ぶ、分厚い油揚げ。
そもそも福井県でいう「油揚げ」は、僕たちが一般的にイメージする薄い油揚げとは少し違う。
全国的には「厚揚げ」と呼ばれるような、分厚くずっしりとしたものを、福井では普通に「油揚げ」と呼ぶ。
その背景には、福井に根付いた仏教文化がある。
特に浄土真宗の「報恩講」“ホウオンコウ”、いわゆる「ほんこさん」では、野菜や穀物、豆腐や油揚げなどを中心とした精進料理が振る舞われてきた。
そして嶺北地方には、曹洞宗大本山・永平寺の存在もある。

仏教信仰と精進料理。
そうした文化の中で、大豆から作られる豆腐や油揚げが、特別な日のご馳走から、やがて日常の食卓へと根付いていったのだろう。
実際、農林水産省のHP内「うちの郷土料理」でも、福井では報恩講料理に厚揚げが使われ、家庭料理としても定着していることが紹介されている。
そう考えると、スーパーの油揚げ売り場までが、ちょっとした文化資料に見えてくる。
「今日はどの厚揚げにしようか」
福井の人にとっては、そんな選択肢が日常にあるのだ。

福井と韓国。大豆料理という接点
そんな厚揚げを頬張りながら、ふと思い出した。
僕が身近に感じながら食べて育った韓国料理との接点である。
韓国料理でも、豆腐はとても身近な食材だ。
焼いた豆腐に醤油や薬味を合わせたり、コチュジャンなどの発酵調味料と組み合わせたり。食卓のおかずとして、豆腐が登場する機会は多い。
僕自身、カリカリに焼いた厚揚げにコチュジャンをたっぷりと付け、サムギョプサル(豚の三枚肉)と一緒に頬張るような食べ方が大好きだ。
大豆を固め、焼き、発酵調味料と合わせる。
日本と韓国では料理の形こそ違えど、「大豆をどう美味しく食べるか」というところで、妙な親近感がある。
福井で巨大な厚揚げを眺めながら、そんなことに想いを馳せていた。
次は、厚揚げバーガー。
今回の「厚揚げおろしそば」で、すっかり福井の厚揚げ文化に興味が湧いてしまった。
いろはゆAWARAには、実はもう一つ気になるメニューがある。
厚揚げバーガー。
……これは次回だ。
蕎麦の上にドンと載せるだけでは飽き足らず、今度はパンに挟んでしまう。
福井の厚揚げ、なかなか奥が深い。

一蕎麦一温泉
そして今回は、蕎麦だけでは終わらせない。
マイブームの一環として、本日の日帰り温泉は「まつや千千」へ。


2026年に創業100周年を迎えた老舗旅館である。大浴場には広々とした露天風呂があり、平日の夕方ということもあって、ゆったりと湯に浸かることができた。
秋の気配を少しだけ含んだ空気の中、露天風呂に身を沈める。
蕎麦を食べて、温泉に入る。
特別なことをしているわけではないのに、妙に贅沢に感じる。
一蕎麦一温泉。
そんな小さな活動を、これからもぼちぼち続けていこうと思う。
長月の、ある一日であった♨️

沖縄にルーツを持つ父親と、韓国人の母との間に産まれ、幼い頃から日本食とは一風変わった食卓で育ちました。
転勤族の父親に付いて、全国津々浦々に移り住み、グルメな母親の影響で週に一度は外食をしていました。
それでもやはり、一番好きな食事は母親の手作りです。母も小まめに料理を作り、夕飯の家族一緒の団欒はかけがえのない想い出です。
今でも月に一度の頻度で、田舎の特産品や母親手作りの常備菜が届きます。
そんな私が、もう永住するしかないと決めた大好きな街、金沢。
其処から全国、ひいては全世界に向けて食のあり方を発信することが出来る私たちの会社を誇りに思い、末端ながらお仕事出来る喜び…と、美味しい賄いを噛み締めている毎日です。