2020.09.02

パッピンス 夏のハンメとの想い出

韓国のカキ氷パッピンス

韓国の伝統的な氷菓子に『パッピンス』と言う庶民的なかき氷がある。

暑い夏が続く昨今、空前のかき氷ブームが全国的に浸透して久しいが、私の中でこのかき氷は“ハンメ=祖母”との、遠い夏休みの想い出である。
※ハンメとは、韓国語でお婆ちゃんの意味。ハルモニだと少し丁寧に、お婆様と言う意味になる。

私の祖母の家は焼肉屋であった。夏になると、メニューにデザートとして『パッピンス』が加わる。日本のかき氷と同じで、機械で細かく粉砕した冷たい氷に、イチゴ・メロン・ブルーハワイといった色とりどりの蜜を掛けて思いおもいに食べる。勢いよく食べ過ぎて、頭がキンキンするなんて事もしょっちゅうであった。

そんな中で、ハンメが私に提供してくれるパッピンスは必ずミルク金時であった。

ちょっと渋めのこのチョイス。幼い私には、他の子どもとは一線を画すこの味が、背伸びをしている感じで何とも言えない高揚感を与えてくれていた。

作り方は至ってシンプル。材料は氷に、みぞれシロップ、小豆、練乳の3つだけである。

大人になってこの懐かしい味を求めるのだが、今では映えを意識した高尚なかき氷ばかりで中々この味に出逢えない。

無いなら作ってしまおうと言う事で、かき氷機が無くても簡単にパッピンスが作れる方法を御紹介。

かき氷機を使わないパッピンスのレシピ

大人になり、私は豆乳が大好きになったので、自然な甘さを活かして材料もシンプルに豆乳と小豆、そして仕上げの練乳のみ。

1つ目のコツは、ジップロックに入れた豆乳を平らなバットで冷やし固める事。

韓国のカキ氷パッピンス料理中

途中、何回か手で揉んでシャリっと感を出すのが2つ目のコツ。

2〜3時間冷凍庫に入れておけばあっという間にパッピンスのベースが出来る。(この日は豆乳ラテのパッピンスも同時に作成)

これをボウルに移し、フォークを使って細かく砕けばあっという間に完成!!

餡子を乗せて練乳を掛ければ、直ぐにハンメとの美味しい夏の想い出が蘇る。

韓国のカキ氷パッピンス

とてもシンプルで包丁もまな板も使わないので、ひと夏の想い出に親子でトライしてみては如何でしょうか。

WRITER Taishi Joh

沖縄にルーツを持つ父親と、韓国人の母との間に産まれ、幼い頃から日本食とは一風変わった食卓で育ちました。
転勤族の父親に付いて、全国津々浦々に移り住み、グルメな母親の影響で週に一度は外食をしていました。
それでもやはり、一番好きな食事は母親の手作りです。母も小まめに料理を作り、夕飯の家族一緒の団欒はかけがえのない想い出です。
今でも月に一度の頻度で、田舎の特産品や母親手作りの常備菜が届きます。
そんな私が、もう永住するしかないと決めた大好きな街、金沢。
其処から全国、ひいては全世界に向けて食のあり方を発信することが出来る私たちの会社を誇りに思い、末端ながらお仕事出来る喜び…と、美味しい賄いを噛み締めている毎日です。